パナソニック ホームズの『暮らしの防災対策 意識調査』
●「避難所支援」から「避難者支援」(分散避難)に転換

自然災害発生時の避難所生活では、利用者同士のプライバシー確保をはじめ、トイレ・風呂などの衛生環境、長期滞在による体調悪化が問題視されている。そこで国や地方自治体は、安全な場所(ハザードマップでのリスク確認、耐震化された住まい、家具固定など)にいる人まで避難場所に行く必要はないという考え方に基づき、自宅・車中、親戚・知人宅、さらにはホテルなどに避難する「分散避難」を推奨している。
もちろん、自宅にとどまるとしても停電や断水など生活インフラの断絶が想定されるので、簡易な照明や簡易トイレ、水・食料の備蓄などの基本的な備えが望ましい。
ちなみに行政の支援方針も、2024年6月に内閣府が「避難生活の環境変化に対応した支援の実施に関する検討会」とりまとめで、これまでの「場所(避難所)の支援」から「人(避難者等)の支援」に転換されている。「分散避難」の選択肢のひとつとして、自宅で安全を確保しながら避難生活を送る「在宅避難」が注目されるところだ。
災害時に生命と財産を守るシェルターとしての役割だけでなく、「在宅避難」の拠点として被災後も安心して暮らせる「防災持続力を備えた住まい」の開発を掲げるパナソニック ホームズ株式会社はこのほど、全国の20歳〜69歳の男女(学生を除く)を対象に実施した『暮らしの防災対策に関する意識調査』の結果をまとめた。
同社では、1995年以降に起きた最大震度7の大地震で同社開発・施工住宅が“倒壊ゼロ”だったという実績をもとに、分散避難の選択肢のひとつである「在宅避難」の認知拡大に努めている。

それによると、自然災害の発生時、避難所ではなく自宅にとどまりたいと回答した人が50%超いるいっぽう、70%弱の人が「在宅避難」の言葉と意味を「知らない」と回答したという。また、防災対策の実施状況によって「在宅避難」の認知率に大きな差があることがわかったとも。そして、避難所生活に対する不安について男性と女性で、その意識に比較的大きな差があることも浮き彫りになったとしている。
避難所生活に対する不安として、全体では、1位は「プライバシーの確保」(47.1%)、2位は「衛生環境」(42.7%)、3位は「周囲の人への気遣い」(38.4%)となった。特に女性において、トイレや風呂などの「衛生環境」に不安と回答した人(48.7%)や「周囲への気遣い」に不安と回答した人(42.9%)が男性と比較して多い結果となった。
パナソニック ホームズ:「在宅避難」の言葉と意味を約7割が「知らない」
なお、防災士制度の発足時から防災士研修講座の運営を専業としてきた防災士研修センター・玉田太郎代表は、災害時にライフラインの途絶を仮定して、自宅で一定期間生活する訓練『ホームサバイバルトライアル』(Home Survival Trial)を提唱している。

台東区防災指導者講習会:玉田太郎「ホームサバイバルトライアルの勧め」
〈2025. 10. 10. by Bosai Plus〉
