1 授業を担当した神戸常盤大学の学生 800x350 - 神戸常盤大学の学生<br>TOPPAN「デジ防災」を使用した<br>防災教育授業

「防災教育実践」の一環 神戸市立蓮池小学校で実施

《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

 デジタル防災学習システム「デジ防災」を使用した防災教育授業(主催=神戸常盤大学)が去る(2024年)12月11日、神戸市立蓮池小学校(兵庫県神戸市)で行われ、児童30人(3年1組)が「デジ防災」授業を受けた。

 神戸常盤大学教育学部 こども教育学科の選択科目である「防災教育実践」(担当:光成研一郎、田中達也、伴仲謙欣、室﨑友輔)の実践授業として実施された。同科目は教員志望の学生が自身の防災教育指導力の向上をめざすとともに、実際に小学生への演習を通じて小学生の防災意識の向上を目指すプロジェクトである。

 2025年は阪神・淡路大震災から30年、TOPPAN株式会社とコラボしての小学生向けの防災教育の実践で、TOPPANが開発したデジタル防災学習システム「デジ防災」では、児童・生徒も取り組みやすい10~15分のコンテンツで防災や災害発生時の対処法を学べる。兵庫県立舞子高等学校環境防災科(日本初の設置)の初代科長だった諏訪清二氏などが監修した。

■デジタル防災学習システム「デジ防災」の授業

 2025年4月に公立保育所・幼稚園・神戸市や兵庫県の教員になる予定の学生が、1年生~3年生の児童に対して、地域の防災力の向上をめざした防災学習の授業を実施。今回の授業の目標として「災害が起きた時のエレベーターの使い方について考えよう」が設定された。

1 授業を担当した神戸常盤大学の学生 1024x373 - 神戸常盤大学の学生<br>TOPPAN「デジ防災」を使用した<br>防災教育授業
授業を担当した神戸常盤大学の学生

 「デジ防災」の画面が表示されたタブレットに――
【問題1】「地震発生、エレベーターに閉じ込められた。その時、どうする?」では「すべての階のボタンを押す」が正解。授業を担当した学生が「防災グッズである笛を持っていると、笛を鳴らすことで助けを求められる」と教えた。
【問題2】「それぞれの行動は、一体何が間違っているのでしょう? ①大声で叫ぶ ②ドアをこじ開ける ③何もせずに待つ」ではどのような結果が考えられるかに対しては、「①聞こえない、体力がなくなる ②手が挟まる ③気付いて貰えない、ずっと出られないかもしれない」などと児童が答えていった。
【問題3】「エレベーターの外にいる時に使えなくなったら?」では「足を怪我している時、高齢者が困っている時、高い建物に登っている時」の各場面について、授業を担当した学生が作成した模造紙に4人が1グループになって書き込んでいった。その後に他のグループが書いた内容を見て回った。

2 学生が作成した模造紙に児童が書き込んでいった 1024x781 - 神戸常盤大学の学生<br>TOPPAN「デジ防災」を使用した<br>防災教育授業
学生が作成した課題状況に児童が回答を書き込んだ

■今後の「デジ防災」に対する防災教育授業

 授業を担当した学生から「震災を経験していないが、このようなコンテンツを使った防災の授業づくりを体験して、貴重な学びになった」との感想があった。
 本稿リポーターの片岡が阪神・淡路大震災時に通っていた中学校にいた先生が神戸常盤女子高等学校の校長(木村光雄氏)を務めていた関係で、同高校の卒業生の学生たちにも感想を聞いたところ、「防災の授業を準備するなかで、自分も知らないことがたくさんあって勉強になった」など語っていた。

 同科目を担当する田中達也氏(神戸常盤大学教育学部こども教育学科 講師)は「『防災教育は未来を創る教育である』が私の理念だが、それに共感した学生たちが今回の授業に取り組んでくれた」と述べた。
 取材した片岡は「楽しみながら学べる防災学習コンテンツであり、このような先進的な防災教育の取組みを、神戸市だけではなく全国に広めていってほしい」と感じた。
 今後、デジタル防災学習システム「デジ防災」が、神戸市だけではなく全国に広まっていくことに期待したい。

※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。

▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。

▼参考リンク:

神戸常盤大学

神戸常盤女子高等学校

神戸市立蓮池小学校

TOPPAN株式会社

デジタル防災学習システム「デジ防災」(TOPPAN株式会社)

〈2025. 01. 10.〉

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