国立大学として医学生の防災士取得をめざす初の取組み
――社会に出て災害医療系BCPの知識を備えて
32万人以上の医師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト「m3.com <エムスリー>」の直近リポート(2023年9月24日付け)に「医師調査〜災害対策で病院長が困っていることは?」があった。関東大震災から100年を迎えるにあたり、全国の病院長、開業医、勤務医を対象(回答者数 177人)に防災に関する調査を実施した。
それによると「取り組んでいる災害対策」では、「地域医療機関との協定締結」や「医師会との連携」、「災害拠点病院との合同訓練計画」などがあるが、「災害対策について困っていること」では、「災害対策に予算を回せない」(公立・公的病院)、「本部に対策の重要性を理解してもらえない」(民間病院)、「何をどうしていいかわからない」(民間病院)、「職員の自覚不足」(民間病院)、「職員への周知、災害時の参集ができない場合のシミュレーションなどがすすんでいない」(公立・公的病院)などがあげられたという。
m3.com:医師調査 災害対策で病院長が困っていることは?
いっぽう弘前大学(青森県弘前市)が今年度から、医学生らが「防災士」の資格取得をめざす「防災教育プログラム」をスタートした。国立大学として医学生の防災士取得をめざす取組みは全国で初めてで、近年多発する自然災害や感染症災害、原子力災害など複合災害に対応する人材育成を目指す。
同プログラムでは避難所運営でのリーダーシップが期待される防災士資格の内容や避難生活の長期化で起こり得る疾患などについても幅広く学ぶ。今年度は医学部医学科1年生全員を含む約160人が受講し、年度末に希望者が防災士試験に挑むという。
![医学生防災士への取組み<br>藤田医科大に続いて、弘前大も<br>医学生防災士養成へ P4 1 弘前大学医学生等が防災士取得に向け、普通救命講習を受講(弘前大学HPより) - 医学生防災士への取組み<br>藤田医科大に続いて、弘前大も<br>医学生防災士養成へ](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2023/11/P4-1_%E5%BC%98%E5%89%8D%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E7%94%9F%E7%AD%89%E3%81%8C%E9%98%B2%E7%81%BD%E5%A3%AB%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%80%81%E6%99%AE%E9%80%9A%E6%95%91%E5%91%BD%E8%AC%9B%E7%BF%92%E3%82%92%E5%8F%97%E8%AC%9B%EF%BC%88%E5%BC%98%E5%89%8D%E5%A4%A7%E5%AD%A6HP%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%89.jpg)
東日本大震災以降、福島県の災害復興活動に取り組む弘前大は昨年度、「災害・被ばく医療教育センター」を設置しており、同センターは「弘前大医学部生にはとくに知っておいてもらいたい内容で、社会に出た後も一般企業でも取り組まれている災害時などの事業継続計画(BCP)作成などでも経験を生かすことにつながれば」としている。
ちなみに本紙は、愛知県豊明市の藤田医科大学が「防災士」研修を1学年約700人の学生の受講カリキュラムに組み込み、防災士養成を実施していることを報じている。
![医学生防災士への取組み<br>藤田医科大に続いて、弘前大も<br>医学生防災士養成へ P4 2 藤田医科大学 全景(同HPより) - 医学生防災士への取組み<br>藤田医科大に続いて、弘前大も<br>医学生防災士養成へ](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2023/11/P4-2_%E8%97%A4%E7%94%B0%E5%8C%BB%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6-%E5%85%A8%E6%99%AF%EF%BC%88%E5%90%8CHP%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%89.jpg)
〈2023. 10. 10. by Bosai Plus〉