角川まんが学習シリーズ『寺田寅彦エッセイ集』を発売!
日常を丁寧に見ることで科学の視点&防災の意識を学べる

P3 1 まんがで名作:寺田寅彦 - 『まんがで名作 これから科学者になる君へ 寺田寅彦エッセイ集』
『まんがで名作 これから科学者になる君へ寺田寅彦エッセイ集』の表紙

●防災科学の“アウトリーチ”の先駆者とも言える寺田寅彦
 
 寺田寅彦(1878年〜1935年)は、わが国有数の物理学者、地震学者、そして夏目漱石とも接点を持つ随筆家として明治中期から昭和初期を生きた人物である。とくに災害・防災について、いまで言う“アウトリーチ(” 研究成果の社会実装化活動)の先駆者として知られる。ちなみに、寺田は1923年関東大震災時に、関東での大地震を“警告”し、後にわが国の地震研究の第一人者となった東京帝国大学助教授(震災後教授に昇進)・今村明恒と地震調査を行い、26年には東京帝国大学地震研究所(現・東京大学地震研究所)所員になっている。

 本紙は旧サイト時代の2015年8月26日付けで、寺田寅彦没後80年(当時)の特別企画を掲載している。防災にかかわる読者であれば、寺田にはすでに親しんでいる方も多いと思うが、そういう方には“再訪”を、また初めての方には『寺田寅彦は忘れた頃にやって来る』というキーワードで主要著書の一読をお薦めしたい。現代でもなお、色褪せることのない寺田の知見は、必ずや災害・防災の原点として立ち返るべき基点となるだろう。

防災情報新聞(旧サイト):2015年8月26日付け「防災科学の先駆者 寺田寅彦」

●寺田の思考法・発想法をわかりやすく解説――学びが多い
 
 その寺田寅彦のエッセイを株式会社KADOKAWA(東京都千代田区)が、「角川まんが学習シリーズ『まんがで名作 これから科学者になる君へ 寺田寅彦エッセイ集』」として初の学習まんが化し、先ごろ発売した。KADOKAWAのプレスリリースによれば、「寺田の作品は海の波や茶碗の湯気、電車の混雑など身近なものを丁寧に観察することで、科学の楽しさが伝わってくるような内容になっている。また、1923年関東大震災を経験した寺田寅彦は、防災の大切さも彼のエッセイの中で唱えた。

P3 2 自然の摂理説明 - 『まんがで名作 これから科学者になる君へ 寺田寅彦エッセイ集』
科学と文学の両方に通じた寺田寅彦ならではの見解も奥深い趣がある

 『まんがで名作』シリーズでは寺田寅彦のエッセイを理解しやすいように脚色し、子どもたちの目線で楽しめるまんがとして描いた。大人が読んでもハッとする視点や学べる要素が入っており、ぜひ子どもたちと一緒に読んでほしい」とのことだ。

 寺田寅彦は身近なものを丁寧に観察し、それを専門的なものへと「連想」する研究を行っていたという。茶碗に入った湯気の動きから気流の流れへと連想したり、電車の混雑からそのパターンを推測したりと、意外なものから考えを深めていく――その寺田寅彦の思考には現代の私たちも学ぶところが多い。

 ちなみに、同書のまんがで出てきた内容について、記事ページでも補足していて、気象や地震について、しっかり学べる。監修は鎌田浩毅・京都大学名誉教授。

▼定価:968円(本体880円+税)

KADOKAWA:『まんがで名作 これから科学者になる君へ 寺田寅彦エッセイ集』

〈2023. 03. 06. by Bosai Plus

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