P5 2b 浸水検知センサのイメージ(光陽無線HPより) - ワンコイン浸水センサ<br>全国展開に向け実証実験

センサでの浸水情報を基に浸水マップを作成、
リアルタイムで浸水マップも作れそう

 大雨による浸水被害が頻発するなか、迅速な災害対応や地域への情報発信を行うため、堤防における越水や決壊などの状況や、周辺地域における浸水の状況を速やかに把握することが求められている。また、流域内で活動を行う各種企業・事業体などにおいても、店舗や事業施設の適切な管理、住居や車両の浸水被害への保険金支払いなど、災害後の対応の迅速化などのため、浸水の状況を容易に把握する仕組みへのニーズが高まっている。

 そこで国土交通省では、こうしたニーズに対応するためには、小型、長寿命かつ低コストで、堤防や流域内に多数の設置が可能な「ワンコイン浸水センサ」を製造・設置し、それらからの情報を収集する仕組みの構築が有効ということで、そのための実証実験を始める。大雨の際には夜間、浸水した範囲の特定がむずかしく、危険な道路の通行止めを適切に行えないほか、水位計やカメラが少ない中小河川では、氾濫などによる被害の確認に時間がかかるといった課題がある。

P5 1 浸水情報活用のイメージ(浸水センサ) - ワンコイン浸水センサ<br>全国展開に向け実証実験
浸水センサによる浸水情報活用のイメージ(国土交通省資料より)

 「ワンコイン浸水センサ」の開発・製造を担うのは光陽無線株式会社(福岡市)。同社では、国や県の管理下にある1級河川や2級河川といった規模の大きな河川では水位計等が整備され、常に管理されているが、市町村管理の準用河川や普通河川といった規模の小さな河川では、設置費用、維持費などの問題もあり整備が進んでいないのが現状で、簡単に小河川、ため池などの水位、道路や建物への冠水、浸水情報を提供できないかと考え、開発に至ったという。

 「ワンコイン浸水センサ」は、縦4cm、横3cmほどの500円硬貨よりやや大きなセンサで、浸水が想定される地域の堤防や建物、道路などに取り付け、浸水状況をリアルタイムで把握する。センサは水につかると電波が途切れる単純な構造で、水位計と比べると安価で、複数簡単に設置でき、夜間や水位計などのない場所でも浸水の有無を面的に把握できることが期待される。

P5 2a 浸水検知センサのイメージ(光陽無線HPより) - ワンコイン浸水センサ<br>全国展開に向け実証実験
P5 2b 浸水検知センサのイメージ(光陽無線HPより) - ワンコイン浸水センサ<br>全国展開に向け実証実験
浸水検知センサ(上・右)と、その設置・活用のイメージ(光陽無線HPより)

 実験はこの夏から愛知県岡崎市や兵庫県加古川市、南あわじ市、徳島県美波町、佐賀県神埼市の5カ所で始め、今年度いっぱいをかけて、早期避難所の開設や道路の通行止めなど、越水・浸水対策にどの程度つなげられたかなど、効果を検証する予定。その実験結果をもとに国土交通省は、全国的に整備が可能か検討することにしている。

国土交通省:ワンコイン浸水センサ実証実験

〈2022. 09. 02. by Bosai Plus

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