新型コロナ感染症蔓延下の災害
――障がい者避難支援の課題をテーマに
片岡幸壱・防災士(防災情報新聞特約リポーター/聴覚障がい者)も報告講演
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
『日本環境リハビリテーション科学研究会(JSERS)「防災・災害対策ユニット セミナー2020」』(主催=日本環境リハビリテーション科学研究会)が去る11月21日、zoom(パソコンなどを使って、セミナーやミーティングをオンラインでできるアプリ)配信で開催された。
セミナーは、「東日本大震災・熊本地震における障がい者の避難環境と新たな避難環境の構築のヒント」をテーマに、オンラインのメリットを十分活かして、東北から九州までの幅広いエリアの福祉関係者に加えて一般視聴者など約30人の参加を得て開催された。
![日本環境リハビリテーション科学研究会(JSERS)<br>「防災・災害対策ユニット セミナー2020」 「防災・災害対策ユニット セミナー2020」のチラシ page 0001 724x1024 - 日本環境リハビリテーション科学研究会(JSERS)<br>「防災・災害対策ユニット セミナー2020」](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2020/12/%E3%80%8C%E9%98%B2%E7%81%BD%E3%83%BB%E7%81%BD%E5%AE%B3%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC2020%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7_page-0001-724x1024.jpg)
■東日本大震災、熊本地震、阪神・淡路大震災からの報告
小島久典・大阪府立大学地域保健学域講師(JSERS研究会代表)による開会挨拶と「避難環境の考察」と題した講演に続いて、花田昌宣・熊本学園大学社会福祉学部教授の「人権を保障するインクルーシブな避難所とは:障害者を受け入れた熊本学園大学の災害時避難所運営の経験」、小山 貴・社会福祉法人ひまわり会すてっぷ施設長の「東日本大震災における障がい者の避難」、そして片岡幸壱・防災士(防災情報新聞特約リポーター)による「阪神・淡路大震災を経験して ~聴覚障がい者」の発表が行われた。
小島氏は「平時から共に考え、対策を検討することが重要」、花田氏は「福祉避難所ではなく障がい者に対する合理的配慮としての支援体制づくりを」、小山氏は「避難したくても避難できなかったという事実に問題を直視すべき」、片岡(本稿リポーター)は「情報は、筆談など目で見て分かるようにしてほしい」などの課題提起がなされた。
![日本環境リハビリテーション科学研究会(JSERS)<br>「防災・災害対策ユニット セミナー2020」 震災体験について語る片岡氏の講演模様 1024x576 - 日本環境リハビリテーション科学研究会(JSERS)<br>「防災・災害対策ユニット セミナー2020」](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2020/12/%E9%9C%87%E7%81%BD%E4%BD%93%E9%A8%93%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%AA%9E%E3%82%8B%E7%89%87%E5%B2%A1%E6%B0%8F%E3%81%AE%E8%AC%9B%E6%BC%94%E6%A8%A1%E6%A7%98-1024x576.jpg)
■今後の障がい者の災害時避難に向けて 情報共有を
障がい者のサポート方法は、障がいの種類によって対応がそれぞれ異なることから、平時から知識・情報・体験を積み重ねていく必要があると、改めて気づかされる要素が多いセミナーだった。
新型コロナウイルスの感染拡大、蔓延で新たに表面化した問題点が、今後の災害想定において各地域で情報共有して活かされることを期待したい。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
●参考リンク:
〈2020. 12. 02.〉