“壁”には貼り出せない?(要スペース)パナソニックのマニアック「災害カレンダー」
VS.「防災イベントカレンダー」に“この日起こった災害”を提供『日本の災害・防災 年表』

【パナソニックの『災害カレンダー』】

 パナソニックは2016年、日々の防災意識を啓発するプロジェクト「毎日が、備える日。」を立ち上げ、推進している。同プロジェクト公式サイトでは、過去の大規模災害発生日が分かる4月始まりのカレンダー「365日 災害カレンダー」を公開しており、誰でもダウンロードできるが、壁に貼りだすには大きすぎ(文字が小さすぎ)のようだ(左図参照)。

>>パナソニック:毎日が、備える日。「365日 災害カレンダー」

 同プロジェクトの一環としてパナソニックは本年8月、9月1日「防災の日」や、来年3月11日の東日本大震災10年の節目を前に防災ウェブセミナーを開催して静岡大学防災総合センター特任教授・岩田孝仁(たかよし)氏をスペシャルゲスト講師として招いた。岩田氏は元静岡県危機管理監で、防災先進県の評価が高い静岡県全域の防災力向上を長年牽引した防災専門家で、「365日 災害カレンダー」は岩田氏の監修のもとでパナソニックと共同制作されている。

 「365日 災害カレンダー」で本紙がとくに注目したのは、実は、カレンダーのダウンロードバナーの下に小さく文字で示された「出典元一覧を見る」(バナー)だ。同カレンダーの出典資料が見られるが、その専門性、情報源が確かなことがよくわかり、この一覧そのものが、防災関係者には貴重な資料ともなることを付言しておく。

>>365日 災害カレンダー出典元一覧

P6 1 パナソニック・災害カレンダーより - パナソニック「災害カレンダー」と<br> 防災情報新聞『日本の災害・防災 年表』
上図:パナソニック制作のカレンダー「365日 災害カレンダー」の全体版。下:2020〜2021年カレンダーより(一部拡大)

 ちなみに公式サイトの下部には、「防災対策」としてパナソニックの製品を含めて各種紹介している。昨今の大規模停電の発生などにより、沸かしたお湯をタンクに保温して貯め、必要な時に使用できるエコキュートは災害時の備えとして注目されているが、パナソニックは、エコキュートの新製品5シリーズを10月10日に発売する。
 新製品共通の特徴として、壁付けの台所リモコンに無線LANを標準搭載し、専用スマートフォンアプリと連携して大雨、暴風といった災害情報・注意報が発令されると、タンク内が常にお湯で満水になるよう、自動でお湯の沸き上げを続ける機能や、翌日の天気予報をもとに日中、太陽光発電の電力を活かして沸き上げを行う機能を搭載、他社との差異化を図っている。

WEB防災情報新聞・ 防災プラス 編
【『日本の災害・防災 年表』】

 災害カレンダーの“マニアック自慢”ではこちらも負けていない、WEB防災情報新聞(ネットで一般公開)には『日本の災害・防災 年表』がある。これは災害史関連書誌を丹念に調べ上げて災害事象を「地震・津波、火山噴火」、「気象災害」、「広域汚染」、「火災」、「感染症」、「人為事故」、「災異改元」の7大カテゴリに分類、全3000項目の事象について解説したもので、現在も毎月更新されてさらに項目数を増やしている。そのごく一端の事例は、本紙無料公開の「防災イベント2カ月カレンダー 〜この日起こった災害」 (防災ニュースレター「防災プラス」共同制作) でも確認できる。

>>WEB防災情報新聞:「日本の災害・防災 年表」

>> 「防災イベント2カ月カレンダー 〜この日起こった災害」

P6 2 《Bosai Plus》提携紙・WEB防災情報新聞の「日本の災害・防災 年表」へのリンクバナー - パナソニック「災害カレンダー」と<br> 防災情報新聞『日本の災害・防災 年表』
WEB防災情報新聞と防災プラスの連携編集による『日本の災害・防災 年表』へのリンクバナー(画像クリックで同サイトへ)

 同年表災害事象のとりまとめは、1997年の防災情報新聞の創刊(当時は紙媒体)以来、書誌を調べ上げて情報を蓄積、災害ごとに解説記事を発表してきた民間研究者・山田征男氏の、長年にわたる尽力による。本記事を契機に、山田氏のこれまでとこれからの、さらなる災害史探求への貢献に、本紙としても謝意を表したい。

〈2020. 10. 04. by Bosai Plus 〉

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