偕成社の新刊、子どもが自ら学ぶ地震防災の基礎

 株式会社偕成社(東京都新宿区)が、『地図で見る 日本の地震』を刊行した。同社によると、この本が企画されたきっかけは、編集者が3人の地震学者に「子どもができる防災対策はありますか?」と質問したところ、奇しくも3人の回答は全く同じ、「過去の地震を知ることだけれど、子どもがそれにアクセスできる情報がない」というものだったという。
 『地図で見る日本の地震』はこれに応え、過去に日本で起きた大きな地震を網羅。歴史に残る最古の地震679年の筑紫地震から2019年の山形沖地震までを、地域ごとに紹介している。
 地図上で「いつどこで地震が起きたか」を示し、「地震の大きさや被害」を、絵やテキストや数字、過去の資料からの引用で解説。自分の住む地域で起きた地震を参照しやすい。
 例えば、豊臣秀吉の伏見城天守閣を倒壊させた1596年の慶長伏見地震、徳川幕府をゆるがした1855年の安政江戸地震など、大地震は歴史をも動かしてきたが、解説では、ときに当時の文字の記録をそのまま引用し、地震発生時の様子をリアルに伝える。

P6 1 『地図で見る 日本の地震』表紙 - 『地図で見る 日本の地震』
3人の地震学者にきいた「子どもができる防災対策」から生まれた本、偕成社の『地図で見る 日本の地震』表紙

 長い歴史を紐解くと、日本全国どこでも地震のリスクが潜んでいることがわかり、地震年表からは、近年、地震の頻度が増していて「地震活動期」に入っていることが一目瞭然。子どもはもちろん、大人にも改めて日本の地震の特徴的な起こり方を教えてくれる。
 「いつ」「どこで」地震が起き、そのとき人びとはどのように行動したのか。「過去の地震の記録」は大切な財産であり、「備え」を教えてくれるのだ。
 監修は地震考古学のスペシャリスト・寒川(さんがわ) 旭氏、文をノンフィクションライター3人の地震学者にきいた「子どもができる防災対策」から生まれた本、偕成社の山川 徹氏が担当。ソフトカバーで持ちやすく、地図帳のように各家庭に備えたい。

▼定価:2000円(税別)、対象:小学校中学年から。サイズ:28cm×21cm、ページ数:104ページ。発売:2019年12月

>>偕成社:『地図で見る 日本の地震』

〈2020. 03. 25. by Bosai Plus

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