長野県 おやき

Photo by くにろく
文・料理:大塚 環(本紙特約ライター/防災士)

 ご無沙汰しております、大塚環です。今年の7月7日のご当地ごはん「第40回 沖縄県 ヒラヤーチー」以来、5カ月ぶりの連載復活です! 事情により一時休載もあり得ますが、基本的に毎月7日に掲載いたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。ご意見、ご感想などもお待ちしております〜。

 南鳥島近海で10月6日に発生した台風第19号(以下、19号)は、12日19時頃に日本の伊豆半島に上陸しました。6日の発生時は996 hpa(ヘクトパスカル)でしたが、進路を西から北へと変えて8日には915 hpa、最大風速55m/sの猛烈な台風に発達し、日本上陸時でも945 hpa、最大風速40~45m/sの大型で強い勢力を保った台風でした。
 今回の台風の特徴は雨量の多さだといえます。気象庁の「災害をもたらした気象事例 台風第19号による大雨、暴風雨等」の解析雨量(10月10~13日)によれば、神奈川県箱根町で1000mm、山梨県富士吉田市で900mm、神奈川県相模原市緑区や静岡県御殿場市などで800mm、宮城県、埼玉県、新潟県、山梨県、長野県などで約700mm(いずれも24時間降水量)と、短時間に日本の2/3の地域に膨大な雨を降らせました。また、10月10日~13日の期間降水量と平年値(10月の降水量)を各地で比較すると、岩手県下閉伊郡普代村にて351%、宮城県伊具郡丸森町365%,埼玉県秩父市浦山373%、東京都西多摩郡檜原村380%、群馬県甘楽群下仁田町で408%と異常な降水量の増加が見られました。

 平年値を超す雨量は一級河川を氾濫させ、荒川水系、鳴瀬川水系、阿武隈川水系、久慈川水系、那珂川水系、信濃川水系など国管理河川6水系7河川12カ所の堤防が決壊しました。さらに長野県では県管理河川の信濃川水系の5河川の堤防が決壊しています(国土交通省「令和元年台風第19号による被害状況等について」参照)
 長野県では長野市のリハビリテーションセンターで入院患者57人と職員50人、社会福祉施設で入所者87人と職員15人が浸水で孤立、さらに上田市武石地区にて道路陥没水により64人が、筑北村では5世帯13人が土砂崩落により孤立して救助を求めました。河川の増水と氾濫は土砂災害も多く引き起こし、11月25日時点(国土交通省発表資料)で台風19号による土砂災害発生状況は全国で962件、そのうち長野県は土石流等が40件、地すべり5件、がけ崩れ15件となっています。

 人的・物的被害も多く出ています。内閣府、非常災害対策本部発表の「令和元年台風第19号等に係る被害状況等について」の10月25日からの大雨による被害状況を含んだ資料では長野県で死者5人、負傷者:重症7人、軽傷137人、住家被害:全壊873棟、半壊2214棟、一部損壊3422棟、床上浸水202棟、床下浸水1779棟、全国では98人の犠牲者、住家全壊は2806棟、半壊は1万8336棟となっています。
 台風が去った後にも濁水や導水管の破裂による断水が全国で相次ぎ、10月末まで復旧作業が続いた地域もあって生活に大きな影響を与えました。仮設住宅も建設され、県では自己所有の戸建てやマンションが全壊、大規模半壊、半壊した場合には応急修理で最大で59.5万円分、生活支援では基礎支援金50万~100万円などの被災者生活支援制度を設けています(長野県ホームページ、以後HP「台風19号への対応について」)。

料理名:おやき(長野県)

 「おやき」を売る店先には、のぼりに信州名物と書かれています。この信州の起源を調べていくうちに長野県須坂市HPを発見しました。長野県付近は信濃や信州と呼ばれていますが、8世紀の「古事記」には科野国と書かれ、江戸時代の「信濃地名考」にも「信濃国いにしえ科野と書く。その地名には科のこと多く見ゆ。山国にて階坂(しなさか)あれば地の名となりけむ」とあり、県内には今も倉科、仁科、蓼科などの地名が残っています。
 また階坂(科坂)は険しい峠のことを指し、信州には500を超える峠があること、科とは科の木のことで古代信濃には多く自生していたとHPに説明されています。そして8世紀を境にして科野国から信濃国と文献には書かれるようになり、江戸時代になると善光寺があるあたりは長野村となりました。

 1870年(明治3年)に東北信の佐久・小県・更科・埴科・水内・高井の六郡で長野県、一方、松本には中南信の諏訪・伊那・筑摩・安曇の四郡と飛騨地方の大野・益田・吉城を領域とする筑摩県が置かれます。その後、中南信の4郡は長野県に、飛騨3郡は岐阜県に合併して現在に至っています。
 県庁所在地の場所をめぐる南北の争いの背景には、元々文化の違う地域が一つの県になったという歴史的な事情があり、そのため、あえて長野を使わずに信濃という名を使用することが多々見られるとも須坂市HPには書かれていました。ちなみに「信州」とは律令国の信濃国の別称です。

長野県おやき
長野県 おやき

★おやきのルーツは縄文時代

 信州の郷土料理「おやき」の発祥は縄文時代にまで遡ります。縄文時代の遺跡から粉を練って焼いたものが出てきたそうです。
 当時のおやきの具はなんだったのでしょうか、最初はプレーンな饅頭みたいなものでその後は貝や肉だったのかな?といろいろ想像すると楽しくなります。

 今回のレシピは農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選 おやき」を参考にしました。信州北部の山間部では小麦栽培が盛んで小麦粉やそば粉の生地に野菜を包んで焼いたおやきは保存食としても重宝したようです。うちの冷凍庫には偶然、ひき肉、椎茸、にんにく、キャベツ、味噌を混ぜた具が保存してあり(他の料理で作って余っていたもの)、おやきの具は「何をいれてもOK」のようでしたので、これを使い、皮のみ上記のレシピで作りました。

 具を入れて発酵させたモチモチの皮に包み、フライパンでこんがり焼くと美味しいこと美味しいこと!サックリモッチリしたうまさが絶妙でした。
 ただ皮に具を包むのが難しく、上手に止められないので四苦八苦しました。モタモタしていると具の水分で皮がさらにまとまりにくくなってしまいます。でもやっぱりポイントは自家製の皮にあると思いますので、是非ぜひ皮から自作してください。頑張って!

〈2019.12. 07.〉

▼〈 復興わがまち ご当地ごはん! 〉バックナンバー
【 第1回 】 福島県「いかにんじん」〈2016. 03. 07.〉
【 第2回 】 福島県「味噌かんぷら」〈2016. 04. 07.〉
【 第3回 】 熊本県「高菜めし」〈2016. 05. 07.〉
【 第4回 】 熊本県「タコめし」〈2016. 06. 07.〉
【 第5回 】 岩手県「鎌焼きもち」〈2016. 07. 07.〉
【 第6回 】 岩手県「豆腐田楽」〈2016. 08. 07.〉
【 第7回 】 宮城県「おくずかけ」〈2016. 09. 07.〉
【 第8回 】 宮城県「ずんだ餅」〈2016. 10. 07.〉
【 第9回 】 青森県「ひっつみ(すいとん)」〈2016. 11. 07.〉
【 第10回 】 青森県「貝焼きみそ」〈2016. 12. 07.〉
【 第11回 】 鳥取県「小豆雑煮」〈2017. 01. 07.〉
【 第12回 】 鳥取県「砂丘らっきょうの甘酢漬.け」〈2017. 02. 07.〉
【 第13回 】 新潟県「ぼたもち(おはぎ)」〈2017. 03. 07.〉
【 第14回 】 新潟県「のっぺい汁」〈2017. 04. 07.〉
【 第15回 】 東京都「筍羹(しゅんかん)」〈2017. 05. 07.〉
【 第16回 】 東京都「深川丼」<2017. 06. 07.>
【 第17回 】 静岡県「桜えびのかき揚げ」<2017. 07. 07.>
【 第18回 】 静岡県「うざく」<2017. 08. 07.>
【 第19回 】 秋田県「稲庭うどん」<2017. 09. 07.>
【 第20回 】 秋田県「きりたんぽ鍋」<2017. 10. 07.>
【 第21回 】 鹿児島県「さつま揚げ」<2017. 11. 0.7>
【 第22回 】 鹿児島県「かるかん」<2017. 12. 07.>
【 第23回 】 北海道「石狩鍋」<2018. 01. 07.>
【 第24回 】 北海道「イカめし」<2018. 02. 07.>
【 第25回 】 群馬県「こんにゃくの煮物」 <2018. 03. 07.>
【 第26回 】 群馬県「おっきりこみ」<2018. 04. 07.>
【 第27回 】 高知県「鰹(かつお)のたたき」<2018. 05. 07.>
【 第28回 】 高知県「田舎寿司」<2018. 06. 07.>
【 第29回 】 大阪府「白味噌雑煮」<2018. 07. 07.>
【 第30回 】 大阪府「水なすの浅漬け」<2018. 08. 07.>
【 第31回 】 岡山県「ままかり寿司」<2018. 09. 07.>
【 第32回 】 岡山県「アキアミと大根の煮付け」<2018. 11. 07.> 
【 第33回 】 愛知県「味噌煮込みうどん」<2018. 12. 07.> 
【 第34回 】 愛知県「鬼まんじゅう」<2019. 01. 07.>
【 第35回 】 富山県「ぶり大根」<2019. 02. 07.> 
【 第36回 】 富山県「いかの黒作り」<2019. 03. 07.>
【 第37回 】 埼玉県「かて飯」<2019. 04. 07.>
【 第38回 】 埼玉県「いがまんじゅう」<2019. 05. 07.>
第39回 】 沖縄県「サーターアンダギー」<2019. 06. 07.>
【 第40回 】 沖縄県「ヒラヤーチー」<2019.7.7>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です