片倉高校防災訓練

高校生の災害想像力を喚起
   家族・地域の防災啓発に活かせ

P5 1 片倉高校宿泊防災訓練体験 - ●ケーススタディ「わがまちの防災」②:都立片倉高等学校の宿泊防災訓練体験
片倉高校の防災訓練体験では八王子消防署北野出張所から防災のプロフェッショナルが駆けつけて指導

高校生の宿泊防災訓練・体験が
自治会自主防災との協働にもつながって……

特約リポーター: 関町佳寛(防災士/Bosai Plus 写真も)

●片倉町「地域危険度」は最も低い「ランク1」
 その「油断」を突いて起こる災害

 都立片倉高等学校(門馬 誠・学校長)は片倉台地域の住宅団地開発と同時期の1972年(昭和47年)開校で、48年目になる普通科と造形美術コースを有する特色のある高校(共学)である。この片倉高校で、4月9日に入学したばかりの1年生319人を対象とする宿泊防災訓練が去る4月19・20日、同校教育の一環として実施された。

 八王子市の片倉町地区は、東京都が実施する「地震に関する地域危険度測定調査(第8回)」(東京都2018年3月9日公表)で、都内5177町での倒壊危険度4400位、火災危険度3938位で総合危険度も3575位と、最も低い「ランク1」である。
 東京都と八王子市の想定地震である多摩直下地震では、地盤の固い片倉台地区の想定震度は6弱で発生確率0~2%程度であるが、想定首都圏直下地震19カ所と合わせると30年以内の発生確率は70%・想定震度6弱である。

 自然災害は想定を超えて発生し生命財産を失う大災害となるが、大きな災害を経験していない多くの地域住民は高齢化もあり危機意識は薄くなりつつある。地域の高等学校で実施される宿泊防災訓練は、地域住民への防災意識啓発に向けて刺激となり非常に有意義なものとなる。

P5 2 片倉高校 自治会との協働訓練 - ●ケーススタディ「わがまちの防災」②:都立片倉高等学校の宿泊防災訓練体験
八王子市片倉台自治会自主防災隊が公園に設置された防災倉庫を案内したほか、避難路の安全性もチェックした

●高校生から家庭へ波及する防災意識 若い想像力を防災に活かせ

 生徒にとっても、今回のような地元での本格的な防災訓練への参加は初めてという生徒がほとんどだ。学校長の「今すぐでも災害が起こると思って緊張感をもって取り組みなさい」との指導の下、生徒たちは緊張した面持ちで5ブロックに分かれ、それぞれの訓練体験に臨んだ。
 訓練体験では、八王子消防署北野出張所の支援により火災時の煙、消火器操作、倒壊家屋からの救出、心肺蘇生AED操作などを見学体験した。

 また、片倉台自治会自主防災隊の案内により地域内の5カ所の公園を回り、備蓄倉庫を見学。備蓄の重要性を学ぶいっぽう、災害時の公園では、避難だけでなく自分が何をできるか、何をする場所か、何が必要かを考えることなどのアドバイスを受け、また、通学時に携帯可能な小型軽量の防災用品の説明を受けた。

 このように、災害への想像力を喚起することが被害を減らすことに通じることを学ぶなかで、生徒からも、危険を感じる崖のある公園への避難や、避難路が通行できない場合に関する自治会の対応についてなど、鋭い指摘も出された。

 寒暖の差が厳しい夜間の宿泊体験で、生徒たちは、それぞれの家庭・家族の災害対策を顧み、また、被災地の避難所の厳しさの一端にも思いを馳せたことだろう。訓練を通じて生徒たちは、災害への備え、命の大切さと、自らの命・安全を守ることは、家族をはじめ周りの人の命・安全にもつながることを感じ取ったことと思われる。

>>都立片倉高等学校

>>東京都:地震に関する地域危険度測定調査(第8回)

>>八王子消防署北野出張所

>>片倉台自治会>>防災情報機構NPO法人

< 2019. 05. 05.>

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