首相官邸HPより「新元号は『令和』(れいわ)に決定」

平成の阪神淡路、東日本大震災…
『令和』の南海トラフ、首都直下…

平成が終わり『令和』となっても、列島地殻変動・地球温暖化は続く。『令和X年』への備えを緩めない。

【『令和』で巨大災害発生予測がリセットされるわけがない… 】
  • 『令和16年』――巷間、南海トラフ巨大地震の発生確率がピークとなる
  • 土木学会の巨大災害予測と対策「15年以内(『令和』の前半)に対策を」

 新元号『令和』の発表から3週間、平成の31年はあと1週間余で終わり、『令和』の時代に入る。世の喧騒も「平成最後の……」からもうすぐ、「令和最初の……」に移行することになる。

首相官邸HPより「新元号は『令和』(れいわ)に決定」
首相官邸HPより「新元号は『令和』(れいわ)に決定」。上写真は首相官邸HPより、4月1日、新元号『令和』を掲げる菅 義偉(すが よしひで)内閣官房長官。『令和』は万葉集の梅の花の歌、三十二首の序文にある「初春の令月にして 気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ 梅は鏡前の粉を披(ひら)き蘭は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す」からの引用で、「人びとが美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込もるという。5月1日、皇太子殿下の天皇即位後、新元号が用いられる(画像クリックで首相官邸・関連サイトへリンク)http://www.kantei.go.jp/jp/headline/singengou/singengou_sentei.html

 平成の時代を災害・防災の分野から見れば、なんと言っても阪神・淡路大震災(1995年/平成7年)、東日本大震災(2011年/平成23年)が起こった元号として特筆されるだろう。後世、災害史的な視点では、阪神・淡路大震災後の日本列島でいよいよ地殻変動が本格的に始まった時代と評価されるかもしれない。

 余談だが、85歳になられる現天皇がこの5月1日に退位、59歳の皇太子が即位することになるが、もし天皇85歳退位が前例になるとすれば、新天皇の『令和』は26年間で決まりということになる。もちろん、天皇の定年制はあり得ないだろうが、85歳退位が“前例”になる可能性がまったくないとは言えないだろう。

 そこで、もうひとつの仮設――南海トラフ巨大地震は確率的には2035年ごろに起こる(?)という疑似科学的な巷間の説がある。それに従えば、2035年はいまから16年後で、新元号で言えば『令和16年』ごろということになる。となると、昨年(2018年)6月に土木学会が公表した巨大災害被害想定(本紙 2018年6月17日付け:「巨大災害で「国難⇒最貧国化」 の衝撃」)は、「これから15年以内に対策を完了させるべき」とあったことと、奇しくも符合する。

 今年5月の改元は、新天皇の即位による「代始改元」だが、わが国では「明治」に天皇1代で1つの元号という一世一元が制定される前まで、さまざまな背景・理由で頻繁に改元が行われていた。そのなかで、まさに時代を”リセット”したいという治世者の意向を反映したものが、天変地異、疫病、兵乱といった災異を理由とする「災異改元」である。

 災害の多いわが国では、(元号の)各時代ともそれぞれ大きな災害が起こっている。近代での例をあげれば、「明治」では濃尾地震、明治三陸津波、「大正」は関東大震災、「昭和」は太平洋戦争終戦前後にいずれも死者1000人以上を出した4大地震のほか伊勢湾台風をはじめとする一連の巨大台風。

 その後比較的に平穏な時期を経て、「平成」に入って阪神・淡路大震災が起こった。その16年後の東日本大震災……まさに世が世であれば、災異改元でリセットを図ったであろうほどの大災害が続いてきた。そしていま、『令和』を迎える。

白川フォントによる「令」と「和」
白川フォントによる「令」と「和」――立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所が、故・白川静名誉教授が築いた「白川文字学」にもとづき、『令和』に込められた意味を「すばらしく、なごやかな時代」と読み解いている。「令」は、象形で神官が冠をつけてひざまずいて神意を聞いている形。古くは「令・命」二つの意味に用い、元々は「神のおつげ」、そこから「おふれ」「いましめ、おしえ」「よい、ただしい、めでたい」「させる、いいつける」等の意味を表すようになったという。「和」は「禾」+「口」で表され、「禾」は軍門(陣営の門)のしるしの形、「口」は「誓いを収めた器」とされる。軍門の前で講和の誓いを行うと平和になる。また別字に「龢」があり、「龠(やく)」は笛の象形で「調和する」意味があるという(立命館大学資料より)

●発生確率の想定外に備えることこそが、リアリティチェック
 経験的に、アナログ的に繰り返され、激甚化し、
 さらに社会的脆弱性を突く自然災害

 『令和』を迎える直前の国の大規模災害想定では、南海トラフ巨大地震、首都直下地震、そして日本海溝・千島海溝沿いの地震、いずれも30年間発生確率では“ほぼ確実に起こる”レベルとなっている。内陸活断層地震についてはよく、リアリティチェックで地震本部の発生確率の低いところで起こっているとの批判があるが、逆にそうであればこそ、想定外に備えることこそが、リアリティチェックとなる。

 南海トラフ震源域で、異常現象が起きた場合、あるいは震源域の一部で地震が起きた場合(半割れ)、被災しなかった他地域も「自主避難」(1週間程度)などの警戒対応をとることがガイドラインとして示されたが、本紙は「国は、2017年に予知は困難として、巨大地震の予知を前提とした大規模地震対策特別措置法を約40年ぶりに見直し、国(首相)による警戒宣言の発出などの防災対応をやめた。今回のガイドラインは、地震発生の多様性を認めつつも、あえて臨時情報の仕組みという新手の”予知情報”を導入したとは言えないだろうか」と疑問を呈さざるを得ない。 これを裏づけるように、ある第一線の研究者は本紙にこう述べている(本紙独自取材情報)。

 「南海トラフ地震について私たちが知り得た発生の仕方(割れ方、起こり方)は極めて限られたケース例。ところがプレート境界地震というのは100万年のプレート活動で、1000年に数回の割れ方を推定した程度では臨時情報といった発生予測はできない。むしろ次の割れ方はこれまでにないものになるという見方をするほうが常識的だ。
 だから、ガイドラインははっきり言って役に立たない。違う起こり方をすることは間違いない。しかも私たちが知っている直近の起こり方もすべて異なっているのだから。半割れは2回あったが割れ方が違う。1回は30時間後、もう1回は2年後だ。起こるかどうかわからないのに、避難所で2年間過ごせというのか」と。

 発生確率も”起こらない確率”も、予測は予測。発生確率がはずれる確率が高いにしても、専門家でなくとも私たちはアナログ的に、体験的に、南海トラフや首都直下地震などが繰り返し起こるだろうことは知っている。そして、地球温暖化を背景とする気象災害の激甚化、大規模火山噴火の近年の不気味な沈黙のいっぽう、都市集中と地方・中山間地の過疎化、高齢化など、社会的な災害脆弱性はむしろより高まっているのだ。

 『令和』に入ったからと言って、そのカウントダウンがゼロにリセットされることはない。

< 2019. 04. 21. >

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です