「災の年」が明けて、災害対策はより強固に、着実に

多彩な構成・展開で自然災害の防災・減災を図る     インバウンド(外国人旅行者)急増に向けた対策も充実

特約リポーター・関町 佳寛/《Bosai Plus》/防災士(写真も)

 「第23回 震災対策技術展 横浜」(事務局:エグジビションテクノロジーズ株式会社)が去る2月7・8日の2日間、パシフィコ横浜(横浜市)を会場に開催され、多くの防災関係者・一般来場者でにぎわった。同展は阪神・淡路大震災の2年後の1997年に始まった日本で初めての防災見本市で、以降、開催地を増やして毎年開催されている。

P4 1 震災対策技術展で 629x1024 - 第23回「震災対策技術展」横浜	盛況裡に閉幕
第23回震災対策技術展・開会式で、上写真:挨拶する中村時広・高知県知事、中:展示会場風
景、下:防災士研修センター・玉田太郎によるセミナー「地域防災力の向上と防災士の活動
について」

 同事務局によると、今回の来場者数は1万9051人(昨年から2%増)。昨年2018年が「災(わざわい)の年」であったことを受けて、展示会場は地震対策から津波、水害、土砂災害などの自然災害対策や、避難所関連用品、災害トイレ、非常食、発電機、テント・シェルター、浄水器、通信・情報システム、安否確認システム、家具転倒防止製品、防災グッズなど、多彩な構成・展開を見せた。また、シンポジウム・セミナーのクオリティの高さも同展の目玉となっていて、わが国の防災研究・対策の第一線で活躍する講師陣多数が登壇、各会場とも満席状態を呈していた。

 ちなみにここで昨年の「災の年」をリマインドしておくと――2018年は、年初に寒さと大雪の寒波の冬に日本列島はおおわれ、1月23日の群馬県草津町の草津白根山・本白根山の“唐突な”3000年ぶりとされる噴火に始まった。その後しばらくの静穏を経て、6月からの4カ月間に大きな自然災害が続発して大荒れとなった。

 その後、6月18日の大阪府北部の地震(マグニチュード(M)6.1、最大震度6弱)、7月上旬の平成30年7月豪雨(通称・西日本豪雨)、7月中旬以降の“災害レベル”とされた記録的な高温、7月下旬の台風第12号、8月上旬の台風第13号、8月下旬の台風第20号、そして9月上旬の“強力台 風”第21号は近畿地方を縦断、関西空港の滑走路やターミナルビルなどで浸水被害を発生させ、さらには9月6日、平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震(M6.7、最大震度7)が起こった。

 9月30日には台風24号が東日本から北日本を縦断。南西諸島や西日本・東日本の太平洋側を中心に暴風となり各地で風速や潮位の観測史上初を更新。台風の接近に備えて、首都圏や近畿地方の鉄道では、「タイムライン(防災行動計画)」の本格的な運用として「計画運休」が行われた……

●2020東京オリンピック・パラリンピックを控えて

 「災の年」が明けた今回の震災対策技術展の展示で目についたブースからほんの数例をあげると、災害時の外国人支援関連の情報サービスで、国土地理院が各種オープンデータの利活用促進を目的に一般からオープンデータを用いて開発した防災アプリを公募、優秀なアプリ(防災アプリ賞)として選定・表彰された防災アプリ4作品の紹介とそのデモが行われていた。そのなかで株式会社キットプランニング「MeetsWorld」は訪日外国人がケガや病気、トラブル、災害などの困った場面に遭遇した際にサポートする17言語対応の「地域滞在中の生活ガイドブック」アプリ(無料)で、病気の際は”問診票”の作成にも役立てる。

 2020東京オリンピック・パラリンピックを控えて、インバウンド(訪日外国人)支援対策が拡充しつつあることをうかがわせる。

>>国土地理院:災害への備えアプリで支援

>>「MeetsWorld」

 また、熊本地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震で導入された水浄化装置・給湯器・シャワー空間・脱衣空間がセットになったAI水循環システム「『WOTA BOX』&災害用シャワーパッケージ」も初公開ということで注目された。

>>WOTA株式会社:「『WOTA BOX』&災害用シャワーパッケージ」

 ほかに非常食試食・体験コーナーでは非常食、防災グッズセレクトショップでおなじみのセイショップや井村屋の「えいようかん」「チョコえいようかん」も試食に多くの来場者を集めていた。災害食はいまや、防災関連展示会の大きなアトラクションとなっている。

 なお同展は本年、「横浜」のほか「第5回 震災対策技術展 大阪」(大阪市)が6月6日~7日、「第8回 震災対策技術展 東北」(仙台市)が11月10日~12日に開催予定だ。

>>震災対策技術展

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