~みんなが安心して暮らせる避難所について、
一緒に考えて下さい~
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
「みんなで学ぼう 防災・減災講座」(主催=眼の会)が去る9月13日、アスピア明石(兵庫県明石市)で開催され、約40人が参加した。要支援者にとって、避難所での暮らしは大変難しい状況になる。どうすれば避難所で安心して暮らすことができるのかを、当事者、支援者が「抱えている・感じている」ことについて考えて、各自の防災活動に役立てて貰うのが目的だ。
■ 発表、シンポジウム
本稿リポーター・片岡幸壱(防災士)は聴覚障がいの当事者として「聴覚障がいから」をテーマに自ら講演し、「私は補聴器を使用しているが、手話は使えない。口の動きを見ながらコミュニケーションを取っている。聴覚障がい者とのコミュニケーションには、口話・手話・ジェスチャー・UDトーク(スマホで音声認識技術を使って会話を文字化する無料アプリ)・筆談などのサポートがあるが、目で見て分かるようにしてほしいです」と強調した。

榊原道眞氏(眼の会会長、防災士)は「視覚障がいから」をテーマに、参加者に目を閉じての全盲体験を試みてもらった。視覚障がい者が避難所の出入り口・トイレ・配給などに誘導されている状況を、榊原氏の話だけを通じて体験するというものだ。
八幡隆司氏(NPO法人ゆめ風基金・理事・事務局長)は「支援者から」をテーマに「過去の災害では障がい者が避難所を利用していないことが多い。それは一般の人たちでも過酷な避難所が、障がい者にとっては避難しようにも避難できない状態になっているからだ」とし、避難所の段差・トイレ・ベッド・食事などについて、何を準備すべきか、改善すべきかを話した。

シンポジウムではコーディネーターを森保純子氏(大阪公立大学都市科学・防災研究センターUReC 特別研究員、森のすず社会福祉士事務所 社会福祉士)が務め、パネリストとして榊原氏、八幡氏、片岡が登壇。
森保氏は会場からの質問も踏まえて「体育館とホテルのどちらが安心できるか」、「近所付き合いはあるか」などを当事者のパネリストと対話した。

■ みんなが安心して暮らせる避難所の重要性
講座参加者は、当事者が避難や避難所への不安や要望を話すことで、安心して暮らせる避難所に向けて気付きを得られたと実感した。
講演した聴覚障がい者である片岡自身も、「全盲体験して、改めて視覚障がい者が一人で行動する難しさを知った」と、今回の講座の重要性を確認した。
個人情報の問題もあるものの、普段から近所付き合いをすることで「みんなが安心して暮らせる避難所」づくりを考えていくきっかけになることは確かだろう。
※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・災害時の命守る知恵 視覚、聴覚障害者の視点でそれぞれ発信 神戸の「防災士」2人
・読売新聞オンライン:「全盲だと手を引っ張られたり背を押されたりすることは恐怖」「筆談のため筆記具や白板も必要」…阪神大震災から30年<障害者避難>の対応、いまだ不十分
(2026.10.05.)

