災害ゴミ処理 現場作業を民間の専門力で補う
自治体と産廃団体の「協定」は
地域の実情に応じて多様
大規模災害で発生する膨大な災害廃棄物。その迅速な処理体制を確保するため、自治体と産業廃棄物処理団体が結ぶ「災害時応援協定」が全国で広がっている。地震や豪雨が頻発するなか、行政単独では対応しきれない現場作業を民間の専門力で補う狙いだ。
災害時には、倒壊家屋の解体、がれきの収集運搬、仮置場の運営、し尿・浄化槽汚泥の処理など、多岐にわたる作業が必要となる。環境省の技術資料によれば、自治体間の包括協定に加え、産廃団体との「廃棄物処理に特化した協定」が急増しており、より実務的な支援内容が明記される傾向が強まっているという。

環境省:災害廃棄物対策指針 技術資料【技 8-2】相互応援に関する協定(例)
実際の協定内容は、地域の実情に応じて多様となっている。代表的なものをいくつか紹介する(協定名称は略称)。
●熊本県 × 熊本県産業資源循環協会
熊本県は熊本県産業資源循環協会と「災害時廃棄物処理等の協定」を締結。地震や豪雨で大量に発生する災害廃棄物の収集運搬・処理を協会が支援する。2016年の熊本地震を教訓に、平時から訓練参加や連絡体制の整備を進める。
●鳥取県倉吉市 × 鳥取県産業廃棄物協会
倉吉市は地震等の大規模災害時に、災害廃棄物処理協力協定を鳥取県産業廃棄物協会と締結。協会側は重機や収集車両を動員し、仮置場の運営や分別作業を支援する。地域の中小事業者が多い鳥取県では、広域的な連携よりも地元密着型の協力体制を重視。
●福岡県 × 福岡県産業廃棄物協会
福岡県は福岡県産業廃棄物協会と協定を結び、災害廃棄物の処理支援を明文化。九州北部豪雨など水害が多い地域特性を踏まえ、浸水家屋の片付けや汚泥処理など、迅速な生活再建に直結する作業を担う。
●し尿・浄化槽汚泥の処理協定(熊本県環境事業団体連合会)
災害時のトイレ問題も深刻。熊本県は熊本県環境事業団体連合会と、し尿・浄化槽汚泥の収集運搬、仮設トイレの設置などを定めた協定を締結。専用ステッカーの配布や現場指示系統の整備など、実施細目まで定めた協定は全国的にも先進例とされる。
ちなみに「協定」には平時の合同訓練・作業手順の共有、連絡窓口の明確化、費用負担の整理などを含む。また、前提として、地元の産廃事業者自身の“耐災害性”や、自治体による住民への災害廃棄物の分別・リサイクルへの周知も課題となっている。

本紙2023年4月16日付け:大規模災害ゴミ対策のグランドデザイン
〈2026. 04. 04. by Bosai Plus〉

