「第6回 地域防災の防災セミナー」
(災害対応クロスロードカード)
「第7回 地域防災の未来セミナー」
(My個別避難計画の作成)
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

「南海トラフ巨大地震へ地域の備えを進めるセミナー・ワークショップ」(主催=一般社団法人大学都市神戸産官学プラットフォーム採択プロジェクト「企業、行政、大学、住民が共につくる地域防災」)が去る2月11日、人と防災未来センター(兵庫県神戸市)で開催され、学生、一般などを含む約50人が参加した。
「企業、行政、大学、住民が共につくる地域防災」プロジェクトは、南海トラフ巨大地震等の未曽有の災害に備え、広域的かつ多層的な地域防災の体制構築に向けて大学、企業、行政、住民が連携する取組みを目指している。
この日は、3つのプログラムを通して参加者同士が意見を交わし、防災力向上に必要な備えや情報、対策の共有を目的とするセミナーが開催された。
■ 意見交換会、セミナー・ワークショップ、総括
「能登半島地震から南海トラフ巨大地震に備える災害ボランティア意見交換会」では、今井健太郎・民間災害ボランティアセンターおらっちゃ七尾代表が「能登半島地震被災地の今」をテーマに話題提供。神戸大学ボランティアバスプロジェクト、Kobe Med Connect(神戸大学医学部生) 、甲南大学、滝川第二高等学校、あすパ・ユース震災語り部隊(中高生)、カダンミツ オペラ・ディ・フィオーレの生徒・学生・社会人が被災地での活動、防災・減災の取り組み、災害の語り継ぎについて報告した。

「地域の目線で考える防災と災害対応クロスロード」では、防災福祉コミュニティによる「HAT神戸のまちと防災」のテーマで、HAT神戸ができるまで・人口・防災インフラ・課題などを紹介。馬場美智子・兵庫県立大学減災復興政策研究科教授が「自助と共助で取り組む地域コミュニティの防災」と題して「皆が少し手を伸ばすことで助け合えるコミュニティづくりが重要」と話した。
西 修・神戸クロスロード研究会の進行で、阪神・淡路大震災を契機に開発された災害対応クロスロードは被災者・夫婦・高齢者・運営者の立場での4問の問題にグループで意見交換した。
本紙リポーター・片岡幸壱(防災士)は報告で、「聴覚障がい者の視点から」として「後ろからは聞こえないので前から声を掛けてほしい。暗い所では懐中電灯・スマホの明かりなど工夫が必要。マスクをしていると口の動きが見えないので外して会話して」など、サポート方法について話した。

「災害看護の視点で考えるMy個別避難計画作成」では、神原咲子・神戸市看護大学災害看護・国際看護学分野教授によるミニ講義があり、その後、水川真理子・神戸市看護大学いちかん看護開発センター准教授、井上理恵・神戸市看護大学ウィメンズヘルス看護学分野准教授、丸尾智実・神戸市看護大学在宅看護学分野准教授がワークショップを進行した。
このワークショップでは災害看護の視点から、被災直後~1日目、被災後3~7日目の健康状態・水・食料・トイレ・生活衛生・生活必需品・情報発信などについて考え、「My個別避難計画」を作成した。

「3つのプログラム全体を通したまとめ」では増田匡・神戸市中央区長、平林英二・人と防災未来センター企画ディレクター、山地久美子・神戸大学地域連携推進本部特命准教授、神原氏が登壇。
山地氏は総括として、「命を守る、社会経済を守ることを考えながら、企業・行政・大学・住民が共に地域とのつながりの大切さについて取り組んでいきたい」と述べた。
■ 地域の目線、災害看護の視点の重要性
意見交換会、セミナー・ワークショップを通して「近所のつながり、地域全体のコミュニティのつながりは、日頃からの地道な積み上げが重要」だと、改めて考えさせられた。また、様々な問題点も考えながら「無理せずに緩くつながるまちづくり」を目指すことで住民どうしの顔が見える関係づくりができ、災害時に役立つのではないかと確信した。

(注)「クロスロード」とは、直訳すると「岐路・分かれ道」。阪神・淡路大震災で、災害対応にあたった神戸市職員へのインタビューをもとに作成された。流れは、グループで自己紹介の後、「あなたならどうする」といった質問カードの事例を自分の問題として考え、「YES」あるいは「NO」の1つだけを選び、カードを一斉に出して理由を話して意見交換しながら問題の解決方法を探る。多数派は青座布団、1人だけの場合は本人のみ金座布団を獲得出来るというカードゲーム形式の防災教材。

※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・一般社団法人 大学都市神戸産官学プラットフォーム
