P6 2 災害情報の重ね合わせイメージ - KDDI AIでSNS情報収集<br>「防災マップボード」

自治体向け「防災マップボード」の提供開始

南トラ巨大地震など大規模災害防災に寄与

● 1枚の地図上に複数の災害関連情報を重ねて表示

 近年、自然災害が激甚化しており、南海トラフ巨大地震など大規模災害への防災など、地域における防災対応力の向上が一層求められている。災害発生時には、各自治体が天候や道路状況などの情報をもとに、避難所の設定や優先的な復旧作業の範囲の選定など、さまざまな対応を迫られるが、異なるシステムから抽出されたデータの統合や、災害現場や対応関係者からの情報の集約には、多大な負荷が伴う課題も存在している。

 そこで、「au」ブランドなどの通信事業を展開するKDDI株式会社はこの10月1日から、南海トラフ巨大地震などの大規模災害に対する自治体の防災力強化に寄与するためとして、1枚の地図上に複数の災害関連情報を重ねて表示できる自治体向け「防災マップボード」の商用提供を開始している。

P6 1 茨城県那珂市周辺でのゲリラ豪雨監視シーン - KDDI AIでSNS情報収集<br>「防災マップボード」
茨城県那珂市周辺でのゲリラ豪雨監視シーン

 これは、1つの地図に多数の情報を重ねて軽快に表示できるハイパーレイヤリング技術(KDDI特許技術)を活用。雨雲レーダーデータやライブカメラ映像といったリアルタイムの情報に加え、自治体が独自に作成・管理しているハザードマップデータや避難者数の状況、避難所・病院の情報、関係者からの伝達情報など、さまざまな災害関連情報を重ねて一つの地図上に可視化。
 これにより、複数のシステムや情報源を行き来する必要がなくなり、災害時の迅速な意思決定を支援する。

P6 2 災害情報の重ね合わせイメージ - KDDI AIでSNS情報収集<br>「防災マップボード」
災害情報の重ね合わせイメージ

 一例として、避難ルートの策定や避難所の設定、復旧作業箇所の特定や優先して作業するべき箇所の判断などに活用できる。
 さらに、報道領域に特化したテックベンチャーであるJX通信社のAIを活用したSNS情報収集サービス「FASTALERT(ファストアラート)」との連携により、SNSなどからリアルタイムに収集した災害関連情報を地図上に反映、これにより、自治体職員が把握しきれない災害状況や住民状況を効率的に確認できるようにした。

● 報道領域に特化したテックベンチャー・JX通信社と連携

 KDDIは2024年夏以降、災害発生時を想定し、同サービスの活用方法を検討するワークショップとともに、計140の自治体で試験提供を実施し、利用した自治体の職員の意見をもとに機能追加やUI(ユーザーインターフェース=製品やサービスの見た目や操作性)、UX(ユーザーエクスペリエンス=UIの使用で得られる体験)の改善に取り組み、今回の商用提供に至っている。

 JX通信社は、SNSなど各種ビッグデータからリスク情報をリアルタイムに検知・配信する「FASTALERT(ファストアラート)」、身近な情報の投稿や、記事を読むだけでポイ活ができる市民参加型ニュース速報アプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」といった速報・アラートサービス、報道規格の高品質な選挙情勢調査サービス「JX通信社 情勢調査」などを提供している。
 JX通信社の速報・アラートサービスとの連携により、自治体職員が現場へすぐに駆けつけられない場合でも、災害状況や住民状況を確認することができる。

P6 3 令和6年能登半島地震の際のFASTALERT情報 - KDDI AIでSNS情報収集<br>「防災マップボード」
令和6年能登半島地震の際のFASTALERT情報

 また、災害時に現場対応する職員のコメントや画像を付箋形式で地図上に直接貼り付ける付箋機能により、現場職員の報告や指示伝達を迅速に関係者へ連携することが可能で、情報の伝達漏れや遅れ、情報収集担当者への負荷集中などの課題を解消する。

P6 4 付箋機能の利用イメージ - KDDI AIでSNS情報収集<br>「防災マップボード」
付箋機能の利用イメージ

 ハイパーレイヤリング技術は、多数の情報を重ねても操作に遅延が発生しづらい設計。また、一般的なPCおよびウェブブラウザーから利用可能で、初期投資は不要だ。
 提供料金は初期費用は不要。2つのIDまで無料、以降はID数に応じて価格を決定(※「FASTALERT」との連携機能を利用する場合は追加料金が発生する。詳細は下記参照。

KDDI:防災マップボード特設サイト

〈2025. 10. 17. by Bosai Plus

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