国交省=生活インフラ省
『Grasp』で全貌“つかみ”
国交省“広報改革”の取組みを“つかむ(Grasp)”メディアコンテンツ
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趣向を変えて 本稿は国土交通省ウェブマガジン『Grasp』を紹介
“広報改革”の戦略的施策 若い世代、社会課題関心層を“つかむ”
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国土交通省は、2018年11月30日から、「時代の変化にチャンスを見出す すべてのビジネスパーソンへ」として、ウェブマガジン『Grasp』(グラスプ)の配信を、パソコン用・スマートフォン用ウェブサイトで開始した。
未来投資戦略などに関連する国土交通省の先進的な政策や取組みを広く周知し、興味を喚起していくために、“広報改革”の戦略的施策として打ち出したものだ。月ごとに、政策や取組みに呼応する社会課題をインタビューテーマとして設定、視座の異なる3名のロングインタビュー記事を毎週配信。また、国民にあまり知られていない国土交通省の所掌業務や職種をイラスト等で紹介するサブコンテンツも展開している。
マガジン名の『Grasp』は、国交省報道発表をはじめとする膨大な情報のなかから、先進的な取組みをより広くわかりやすく“つかんでもらう(Grasp)”という意味だという。
国土交通省では2018年度から他省に先駆けて広報改革を進めている。同省では年間3000件に及ぶメディアコンテンツを配信しているが、広報を受け手目線から徹底的に再構築しようという広報改革をきっかけに、情報発信の仕組みそのものの改革をめざす。
そのなかで『Grasp』は、「みらいのくらし発信マガジン」をコンセプトに、とくに若いビジネスパーソンや社会課題に関心のある層を読者層に想定、社会課題を異なる視点から俯瞰して解決の糸口を探ろうというものだ。
おさらいをすれば、国土交通省はわが国の国土・社会基盤・交通・防災を総合的に担う行政機関で、2001年に建設省・運輸省・国土庁などが統合して誕生。役割は多岐にわたり、国土の利用計画、都市づくり、住宅政策、道路・河川・港湾・空港などのインフラ整備、鉄道・自動車・海運・航空といった交通政策から、観光振興、気象・海上保安など、暮らしと経済を支える幅広い分野を所管することから、国民の生活に密接に関わる政策を総合的に扱う「生活インフラ省」とも言える存在だ。
なかでも防災関係者にとってとくに重要なのが防災・減災の司令塔としての機能で、治水事業、土砂災害対策、道路・港湾の耐災害化、気象情報の高度化、災害時の緊急輸送体制の確保など、自然災害の多い日本において国民の生命と社会機能を守る役割を担う。
なお、国土交通省のメールマガジンには、大臣官房広報課による日々の同省ホームページの新着情報やトピック情報、政策情報、お知らせなどを配信するサービス(お薦め)をはじめ、「新着調達情報」「運輸安全」「総合交通」「事業用自動車安全通信」「海上安全」「運輸安全委員会」などのメールマガジンがあり、いつでも申し込めるので活用したい。

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『Grasp』の防災・減災に関する記事も充実
災害伝承・水害対策・土砂災害対策・基盤整備など多角的な視点で
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ウェブマガジン『Grasp』のコンテンツには、次のようなものがある。
「トリ・アングル INTERVIEW」:毎月の社会テーマに対し、異なる視点の3名にロングインタビュー。空港、造船、観光、インフラなど多様な分野を扱う。「こんなところに国交省」:知る人ぞ知る業務や意外な取り組みを紹介。例:自然災害伝承碑、物流標準化、地籍調査など。「寡黙なヒーロー」:国交省職員の仕事をウィットに富んだイラストで紹介。例:除雪出動式、飛行検査業務など。「初耳係長」:一般には知られていない制度や仕組みを解説するコーナー。「特集記事」:成田空港の進化、灯台の役割、MICE誘致など、社会インフラや地域活性化に関する深掘り記事。

また、『Grasp』には、防災・減災や安全確保に関する取組みを紹介する記事も多くある。とくに「自然災害伝承碑―先人の教えを受け継ぐ」は、自然災害に備える方法のひとつとして、国土地理院が2019年から「自然災害伝承碑」の「地理院地図」等への掲載を開始している。
「自然災害伝承碑」とは、津波、洪水、火山災害、土砂災害などの自然災害に見舞われた際に先人が後世のために遺した石碑やモニュメント。一般に、発生年月日、災害種別、範囲、被害内容や規模などが記され、被災場所に建てられていることが多い。また、地形などの関係で、自然災害は同じ場所で起こりやすい性質があることから、伝承碑は過去からの貴重なアドバイスとなる。
冒頭画像にある「寡黙なヒーロー」の事例としては、「流域治水―気候変動時代の新しい治水の考え方」(file 053)では、国交省が推進する「流域治水」をイラストを交じえてわかりやすく紹介。従来の河川管理だけでなく、流域全体で水害リスクを減らす総合的な取り組みを説明している。
「地籍調査―災害復旧にも不可欠な土地情報整備」(file 007)は、地籍調査が災害復旧における不可欠な基礎データで重要な役割を果たすことを紹介。

一般には馴染みのない制度や仕組みを解説する「係長シリーズ」の「地震防災係長」(水管理・国土保全局防災課災害対策室)の仕事は、地震などの自然災害発生時に、国土交通省内での政策判断のため、被害情報を収集・整理すること。職場内で当番を決めて、24時間365日、本省に駆けつけられるように体制を整えているという。風水害などについても対応し、災害が発生した際には災害対策本部の設置・運営も仕事の一つだという。

本稿は防災関連記事とはやや趣向を変えて、国土交通省ウェブマガジン『Grasp』を通じて、私たち防災関係者にとって身近な国土交通省の“知られざる”広報戦略の一端を紹介してみた。
〈2026. 04. 06. by Bosai Plus〉
