現場の声:被災地の課題は日本の未来の縮図

「てあわせ」が 「終末・葬送支援モデル」を全国へ発信

■ 被災地から始まる「無縁」から「有縁」へのフェーズ転換
 誰一人取り残さない葬送の仕組みづくりへ

 東日本大震災から15年。復興住宅の高齢化、単身世帯の増加、地域コミュニティの希薄化により、被災地では誰にも看取られない「孤立死や無縁化」への不安が深刻化している。これは目に見えにくい「第二の災害」ともいえる社会課題でもある。

 一般社団法人「てあわせ」(宮城県石巻市)は、孤独死の予防から葬送・供養までを包括的に支える終末支援プログラムを強化し、被災地で培った実践モデルをもとにNPO化に向け「誰一人取り残さない葬送」の仕組みを全国へ発信している。

P6 1 誰一人取り残さない葬送の仕組みづくり - 東日本大震災から15年――<br>被災地で進む<br>「無縁化」という第二の災害
誰一人取り残さない葬送の仕組みづくり(てあわせ資料より/以下同様)

【 ハード復興の陰で押し寄せる「孤独」という名の第二の大波 】
 道路、防潮堤、災害公営住宅といったハード面の整備はほぼ完了し、街の風景は一変したが、その陰で住民の高齢化と、移転によるコミュニティの分断は深刻さを増している。いま、復興のステージは「生活の再建」から、避けては通れない「人生の幕引き(終末期)」へとフェーズを移している。
 とくに災害公営住宅では、誰にも看取られずに息を引き取る「孤独死」が社会問題化している。宮城県の統計では、2024年までの累計孤独死者数は600名を超え、発生率は入居開始から年月が経つほどに高まる傾向にある。

【 深刻化する孤独死の現状 】

  • 孤独死の現状: 宮城県が公表する災害公営住宅における孤独死者数は、2025年の1年間だけで52人に達した。
  • 累計の悲劇: 発災から約14年間で被災地3県(岩手・宮城・福島)の仮設住宅・公営住宅を合わせた孤独死の累計は680人を超えている。

【 活動の原点 鎮魂の祈りから、生者のための「終末支援」へ 】
 「てあわせ」の活動は、犠牲者への鎮魂(千本の桜植樹・慰霊碑建立)から始まった。しかし、遺族との対話で見えてきたのは、「いまを生きる人々の、終末と死後の不安」だ。「てあわせ」は、民間や行政との隙間にある「死の課題」を埋める活動を展開している。

【 主な支援活動 ワンストップ連携の「終活の窓口」開設 】
・死をタブー視しない終活セミナー、座談会、寺子屋カフェの開催
・後継者不要、維持管理不要、低負担の樹木葬の運営
・士業や関連業者とワンストップ連携の「終活の窓口」開設
・慰霊と命の循環を象徴する「鎮魂の桜の森」づくり

【 現場の声 被災地の課題は日本の未来の縮図 】
 昨年から仙台や石巻で開催しているセミナーでは、60〜70代を中心とした市民が参加し、不安や悩みの声が聞こえてくる。これらは被災地だけの問題ではなく、少子高齢化、単身化、多死社会の進行により、「看取りの担い手不足」「遺体引き取り拒否」など、2030年問題と重なり、日本全体が直面する「超多死社会」の縮図でもある。

P6 3 現場の声:被災地の課題は日本の未来の縮図 - 東日本大震災から15年――<br>被災地で進む<br>「無縁化」という第二の災害
現場の声:被災地の課題は日本の未来の縮図

【 震災後の終活モデルを全国へ 「誰も無縁で終わらせない」 】
 震災を経験し、命の尊さと絆を重んじてきた「てあわせ」は、誰もが安心して老いを受け入れる社会をめざしている。「てあわせ」は、高齢化・孤立化の課題を「一地域の特殊な問題」で終わらせてはならないと考え、活動の公共性と継続性を高め、被災地で培った「心のインフラ再建」を「終活」へと展開して全国へ伝えるため、2026年を目途にNPO法人への移行を計画。
 「終活」は自らの生き方を見つめ直し、将来の不安を解消する活動であり、個々の希望を尊重し、周囲の負担を軽くすることでいまを大切に生きる一歩としている。

P6 4 4つの支援の柱 - 東日本大震災から15年――<br>被災地で進む<br>「無縁化」という第二の災害
4つの支援の柱

一般社団法人てあわせ

〈2026. 02. 25. by Bosai Plus

コメントを残す