大規模災害に対する社会や地域の“弱部”のあぶり出し
被害想定の精度向上、高度化、
シミュレーションに基づく災害リスク評価手法について検討
「防災立国の推進に向けた基本方針」(2025年12月26日閣議決定)で、防災庁が担う役割の一つとして、「被害想定の精度向上及び高度化を図るとともに、国・都道府県等が連携し、地域レベルでの具体的かつ分野横断的なシミュレーションに基づく災害リスク評価を通じて、大規模災害に対する社会や地域における弱部のあぶり出しを推進する」とされた。そのため内閣府(防災担当)では、被害想定の精度向上及び高度化に係る手法や、シミュレーションに基づく災害リスク評価手法について検討を行う有識者検討会「定量的弱部分析手法等検討会」を設置、第1回会議を本年(2026年)1月23日に開催した。

これまでの被害想定は「最大クラスの地震・津波」を前提にしていたが、実際の災害対応では、より現実的な被害規模や対応能力の把握が必要となる。同検討会では、「災害関連死の人数」や「人命救助に必要な体制」、「人的被害などへの影響が大きい建物被害」の見直しなど、より実態に即した被害想定の方法を議論する。


具体的には、市町村の地域防災計画では、国の被害想定などをもとに域内死者・負傷者数や建物倒壊数などを算出しているが、見直しによりさらに、発災後に必要となる救助や救急搬送の要員、負傷者のトリアージ(優先順位判定)や応急処置を行う医療救護所の態勢などの数値化や、道路損壊時の負傷者搬送に要する時間も割り出す方針。
これらにより、現状の対策と各市町村の態勢を比較、それぞれの行政機関や災害拠点病院の人手・資機材状況を詳細に把握する。このように、「定量的弱部分析手法等検討会」は、災害対応の「弱部=弱点」をあぶり出し、防災計画や備蓄の見直しを促すのが狙い。
【 主な検討事項 】
- 人命救助に必要なリソースの算出方法
- 災害関連死の発生要因とその抑制策
- 避難行動や避難所運営に関する課題の整理
- 自治体や関係機関との連携のあり方 なお、検討会で決まった内容は内閣府の主導で、今後公表される日本海溝・千島海溝周辺における巨大地震の被害想定の算出に用いられる見通し。また、関連する会議として、「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」や「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」もあり、南海トラフ巨大地震や首都直下地震の被害想定の算出にも取り入れられる可能性もある。
検討会は今後も継続的に開催され、2026年度以降の被害想定見直しに反映予定だ。

〈2026. 02. 16. by Bosai Plus〉
