防災覚醒を促した阪神・淡路大震災
災害教訓の風化をどう食い止めるか――日赤調査より
防災主流化=防災日常化=“防災志“への 意識更新!
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震災を“知っている”世代は30代半ば以上
若い世代は「想像力+デジタル・アーカイブ」で教訓発掘を
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日本赤十字社(以下「日赤」)では、市区町村ごとに防災の取組みや高齢者の支援活動などを行う「地域赤十字奉仕団」、日頃の訓練を生かして災害発生時に活動する「防災ボランティア」など、全国で約2900団、約83万人の「赤十字ボランティア」が活動している。
そこで日赤として、阪神・淡路大震災の発災から30年を迎える昨年・2025年1月のタイミングで、阪神・淡路大震災に関する認知や、被災地で活動するボランティアに対する意識を探るために、10代〜60代以上の男女、合計1200名を対象に調査を2024年11月に実施、その結果を2024年12月18日に公開。本紙はその内容を、翌2025年の阪神・淡路大震災発災日である1月17日付けで、「日赤調査 阪神・淡路大震災 知ってますか…」と題して取り上げた。
本紙 2025年1月17日付け:日赤調査「阪神・淡路大震災」知ってますか…
阪神・淡路大震災から31年となるいま、再びこの日赤調査の事例を取り上げ、「震災教訓の風化」、その克服について考えたい。
日赤調査によると――
▼阪神・淡路大震災について、知識の程度に関係なく「知っている」と回答したのは、全体の89.3%(1072人)(左図参照)。反対に、「全く知らない」人は10.7%(128人)で、このうち71.9%(92人)は10〜30代が占めた。
▼「知っている」とした回答者でも、発災日が1月17日であることを知らない人は32.5%(348人)。上記で「全く知らない」と回答した人も合わせると、発災日を知らないのは全体で39.7%(476人)に。このうち66.4%(316人)は10〜30代が占めた(P. 1 図版参照)。
ちなみに、阪神・淡路大震災でのボランティア活動を機に1995年が「ボランティア元年」とされていることについては、回答者全体の75.7%(908人)が「知らなかった」と答えた。


日赤:阪神・淡路大震災が起きた日、3人に1人「知らない」 若年層で認知が低い傾向
「災害教訓の風化」は古くて新しい防災課題だが、風化にはやむを得ない側面があるだろう。その上での風化の克服=若年層を含めた全世代での「災害教訓の継承」に向けたひとつの“解”は、語り部と同列での、最先端デジタル技術を援用した「震災アーカイブ」の活用ではないだろうか。
本紙提携紙・《Bosai Plus》は、2017年6月15日発行号(No. 164)で5ページに及ぶ「保存版・震災アーカイブ」特集を打った。そしてその副題を「未来へ伝える記憶と記録、教訓。“いま”を活きる「震災アーカイブ」とした。

《Bosai Plus》2017年6月15日号(No.164):《保存版 特別企画》 ワン・クリック先の「震災アーカイブ」
「震災アーカイブ」の役割・目的は、被災地の復興や次の災害への備えのために、また、災害を風化させないように記録・記憶して後世に伝える取組みで、さまざまな記録や資料を集めて公開するところにある。紙によるアナログ的な記録・資料の保存・保管方法は、ある意味で災害記録・記憶を私たちの視界から遠ざけ、「災害史」的な歴史の“引き出しの奥”に閉じ込めがちだった。
しかし、デジタル・アーカイブがこれを一変させた。デジタル・アーカイブは、まさに災害記録・記憶を“災前”の「備え」に変えることができるのだ。
今日の「震災アーカイブ」は、ICT(情報通信技術=デジタル技術)の進展を背景に、膨大な記録・資料・映像などが検索・閲覧しやすく整理され、インターネットを介して私たちに広く公開されている。さらに今後、近い将来、AIを駆使した新たな「震災アーカイブ」の登場も期待され、私たちの“災害教訓の追体験”の強化も図られることだろう。
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防災士制度提唱者の「一意専心の志=防災志」の原点
防災士は 「阪神・淡路大震災の学びから生まれた」
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阪神・淡路大震災発災から31年のいま、阪神・淡路大震災を契機に生まれた「防災士制度」に触れておきたい。防災士認証登録者数は2025年12月末日時点で34万2831名(累計)となっている。国が2026年度に設置予定の防災庁について公表した「防災庁設置基本方針」にも防災士の活用が明記され、いまや地域防災に欠かせない存在として防災士はある。

2003年10月に初めて216名の防災士が誕生(認証)してから20余年、わが国は、東日本大震災をはじめ幾多の災害を経験しつつ、防災士制度自体はそれら災害の“後押し”の結果として、防災士を輩出、急成長を遂げてきた。その原点こそ阪神・淡路大震災だった。

日本防災士機構は2023年9月、『防災士 20年の歩み』を上梓している(左・表紙写真/非売品・一般非公開。同編集主幹を《Bosai Plus》編集発行人が務める)。防災士制度の構想・研究段階から発足、防災士養成研修講座・教本の確立、研修機関の設立、防災士活動の成長に向けた苦闘の時期、行政・大学の協賛参入など、今日の国民運動的な防災士普及に至る20余年の総括としての上梓でもある。
同書は残念ながら一般公開されていないが、その書誌・もくじは下記サイトで確認できるので、参考に供する。
神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ「震災文庫」:日本防災士機構「防災士 20年の歩み」
その防災士構想の提唱者で、現在も日本防災士機構要職にあって運営方針を牽引する玉田三郎氏は、同書で「防災士構想・理念は、阪神・淡路大震災の学びから生まれた」と回顧している。同書のサブタイトルに「羅針盤なき航路を進めた一意専心の足跡」とあるが、玉田氏の「一意専心の志=防災志」の原点はまさに、阪神・淡路大震災にあった。

〈2026. 01. 16. by Bosai Plus〉
