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災害に強い“土の家”「アースバッグハウス」

世界各国で地震・洪水・ハリケーンに耐えた実績
 日本で制度的にどのように認められるか

 地域の土を活かしたエコ建築「アースバッグハウス」が、日本で初めて正式に建築認証を得るための研究プロジェクトとして始動する。
 これは東京大学大学院・佐藤淳准教授と連携する共同研究で、国土交通省の大臣認定を目指す国内初の試みだ。すでに世界各国で地震・洪水・ハリケーンに耐えた実績を持つアースバッグ建築が、日本で制度的にどのように認められるか。その歴史的な一歩となるという。

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建築予定のアースバッグハウスのイメージ画像

 佐藤淳氏はスタンフォード大学客員教授でもあり、構造設計と構造デザインを専門とする構造設計の専門家。木材・鉄・コンクリートなど多様な素材を扱い、建築の表現と構造を融合させる研究を続けており、国内外の著名建築家との協業実績も多数ある。
 代表作には「公立はこだて未来大学研究棟」、「Sunny Hills Japan」などがあり、構造的合理性と造形美を両立させる設計で高い評価を受けている。

 今回のプロジェクトでは、佐藤准教授の構造解析・最適化の知見をもとに、アースバッグハウスが持つ自然素材と曲面形状の強みを科学的に立証し、建築基準に適合させることをめざす。

■ 国内初、アースバッグ建築の「建築確認」へ

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地域の土を活かしたエコ建築「アースバッグハウス」

 アースバッグハウスは、土を袋に詰め積み上げるシンプルかつ強靭な工法で、環境負荷が低く、防災性にも優れているが、日本では建築基準法に想定されていない工法であるため、これまで正式な建築確認が下りることはなかった。今回、東京大学との共同研究により構造計算・性能検証を行い、大臣認定と建築確認に挑むことで、日本で初めて制度的に認められるアースバッグハウスが現実のものになる。

 アースバッグ建築は、世界各地でその耐災性を証明してきたという。その数例をあげると、「2015年ネパール大地震」(M7.8)では同国内に存在した55棟のアースバッグ建物がすべて無傷で、孤児院のドーム群は外装に微細なひびが入ったのみで、震災後はネパール政府の公式再建カタログに採用されている。「2010年ハイチ地震」(M7.0)では、孤児院の小型アースバッグ住宅「サンハウス」が構造損傷ゼロで残存。周囲のブロック造が大破するなか、安全な拠点として注目を集めた。

 「2012年トルコ地震」(M6.1)では、築数年の円形アースバッグ住宅が無被害。所有者は「自宅だけが踊るようにしなやかに揺れ、損傷がなかった」と証言。「2017年プエルトリコ:ハリケーン・マリア」では、カテゴリー4の暴風雨直撃を受けたドーム群が無損傷で居住継続。曲面形状が風圧を受け流し、厚い土壁が飛来物や火災の拡大から住人を守った。
 「2010年パキスタン洪水」では、砂利充填の土嚢基礎が浸水圧を逃がし、構造被害を回避。洪水後、泥を洗い流すだけで生活が再開。

P5 3 三井紀代⼦・貴凛庁株式会社代表取締役と佐藤淳・東京大学大学院准教授 300x157 - 「アースバッグハウス」<br> 建築確認へ始動
(上写真・左)アースバック建築に関して制度化や大臣認定取得に向けた技術・法制度面でのサポートを担う三井紀代子・貴凛庁株式会社代表
取締役、(右)佐藤淳・東京大学大学院准教授

 こうした事例から、アースバッグ建築は地震・台風・洪水・火災に総合的に強く、国連やNASAも人道支援住宅や月面基地構想への応用に注目している。
 いっぽう日本では、制度的な未整備のため普及が進まず、建築確認の枠外に置かれてきた。今回の共同研究は、その「遅れ」を取り戻す歴史的な一歩となることが期待される。

貴凛庁:「アースバッグハウス」 災害に強い土の家、日本で正式認証へ

〈2025. 12. 22. by Bosai Plus

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