P2 1 国難級災害で想定される断水被害 640x350 - 水・トイレの都道府県間相互支援体制

大規模災害時の生活用水の確保
官民連携協定で解決(トイレも)

国難級災害、大規模災害に備え、
全国的な自治体間の生活水・トイレ相互支援体制の構築

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「国難級災害」では、能登半島地震の50〜100倍の断水被害が想定
WOTAが提唱「水循環システムの自治体間広域互助プラットフォーム」
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 WOTA株式会社(東京都中央区)が、本年8、9月の神奈川県、徳島県との「災害時の生活用水資機材の広域互助に関する協定」締結に続き、この11月には愛媛県と北海道と同協定を締結した。協定は、WOTAが提唱する「水循環システムの自治体間広域互助プラットフォーム」構想に向けたもので、WOTAは協定の47都道府県への拡大をめざしている。

 WOTAは、水問題の構造的な解決をめざす⺠間企業で、2014年の創業以来、地球上の水資源の偏在・枯渇・汚染によって生じる諸問題の解決のため、生活排水を再生し、最大限有効活用する「分散型水循環システム」と、それを実現する「水処理自律制御技術」を開発している。すでに、2つの商品を上市し、災害時の断水状況下における応急的な水利用の実現や、公衆衛生の向上に寄与してきた。また、日常的な水利用を実現する「家庭用水循環システム」を開発し、国内外の一部地域で給水を開始している。

WOTA

P1a 過去の大規模災害(WOTA資料より) - 水・トイレの都道府県間相互支援体制
過去の大規模災害(WOTA資料より)
P1b 想定される国難級災害(WOTA資料より) - 水・トイレの都道府県間相互支援体制
想定される国難級災害(WOTA資料より)

 WOTAはこうした技術開発の特性を活かそうと、令和6年能登半島地震をはじめとする災害時の応急給水の経験を踏まえ、国難級災害を含む今後の大規模災害に備えて、全国的な自治体間の水循環システム相互支援体制を構築し、避難所等における衛生環境と生活用水の確保に向けた体制強化プロジェクトである「水循環システムの自治体間広域互助プラットフォーム」を推進する。そして、いつ・どこで発生するかわからない多様な災害にも迅速かつ柔軟に対応できる体制構築をめざすとしている。

 想定される首都直下地震での断水被害は、能登半島地震の約50倍、南海トラフ巨大地震では約100倍規模が想定されており、とくに衛生環境および生活用水の確保は、被災自治体単独での対応は限界があることは明らか。こうした国難級災害に備え、都道府県を軸とした全国的な自治体間の相互支援体制をあらかじめ構築することは喫緊の課題となる。

P2 1 国難級災害で想定される断水被害 - 水・トイレの都道府県間相互支援体制
国難級災害で想定される断水被害

● 「水循環システムの自治体間広域互助プラットフォーム」の概要

 協定名称は「災害時の生活用水資機材の広域互助に関する協定」で、災害時に避難所等における衛生環境および生活用水の確保を図るため、都道府県間での生活用水資機材の相互支援体制の構築を目的とする。

○ 災害時において生活用水資機材(「WOTA BOX」、「WOSH」等)を被災していない自治体から被災自治体に対して提供
○ プラットフォーム事務局(WOTA)による支援要請の受付と各自治体間の調整
○ 災害時における関係者間での迅速な情報共有(被災状況、生活用水資機材ニーズ、資機材の設置・運用・撤去スケジュール等)
○ 平時における事前配備の調整、推進

P2 2 写真左:水循環型シャワー「WOTA BOX」/写真右:水循環型手洗いスタンド「WOSH」 - 水・トイレの都道府県間相互支援体制
写真左:WOTAの水循環型シャワー「WOTA BOX」/写真右:水循環型手洗いスタンド「WOSH」

WOTA:愛媛県と「水循環システムの自治体間広域互助プラットフォーム」構築に向けた協定を締結

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『みんな元気になるトイレ』、「B-PLo」、「シェルターワン」……
社会的課題解決へ協働の取組み=“コレクティブ・インパクト”
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 WOTAが推進するような官民連携による社会的課題の解決に向けて協働する取組みは近年、“コレクティブ・インパクト(Collective Impact)”と称される。大規模災害時の“困りごと”のもうひとつの代表とも言えるのが、トイレ問題。

 災害時におけるトイレ問題は、被災者の健康と衛生を守るために極めて重要で、トイレの確保は、健康に関わるだけではなく災害関連死も惹起しかねない大きな課題だ。この課題についての官民連携での注目される動きは、全国の自治体が協力して取り組む「災害派遣トイレネットワーク『みんな元気になるトイレ』」で、本紙でも紹介した。

P2 3 「みんな元気になるトイレ」 - 水・トイレの都道府県間相互支援体制
「みんな元気になるトイレ」より

本紙 2024年9月15日付け:助けあいジャパンの「みんな元気になるトイレ」

 『みんな元気になるトイレ』プロジェクトを運営する助けあいジャパンは、東日本大震災直後に設立され、当初から災害支援を目的とした官民連携の民間プロジェクトとして活動している。これまで多くの被災地にトイレトレーラーを派遣し、避難者や支援者のトイレ環境改善に貢献しており、また、災害派遣情報人材ネットワーク「WAA ReSCue」を構築して、災害発生時に必要な情報を迅速に収集・共有し、効果的な支援活動を実現するための情報支援を担っている。

 全国の1741市区町村が1台ずつトイレトレーラーを常備し、大規模災害時にこれを被災地へ派遣することで、トイレ不足を解消することが目標。このトイレトレーラーには、1台あたり4部屋の洋式水洗トイレが付いており、災害時に迅速に設置・使用することができる。また、移動が容易であり、被災地に迅速に派遣することが可能。さらに、トイレトレーラーには換気扇や洗面台も備えられており、衛生的な環境を提供することから、“きれいで、明るく、衛生的、安全なトイレ”なのだ。

P2 4 「みんな元気になるトイレ」プロジェクトのしくみより - 水・トイレの都道府県間相互支援体制
「みんな元気になるトイレ」プロジェクトのしくみより
P2 5 静岡県富士市の「岡山県倉敷市」への支援出動実績より - 水・トイレの都道府県間相互支援体制
静岡県富士市の「岡山県倉敷市」への支援出動実績より

 こうした全国的な官民連携の被災地支援の動きは、国を主体に、また民間を主体に、ほかにもあり、まさにこれから起こり得る国難級大規模災害に備えている。いずれも本紙既報なので、下記リンクを参照していただきたい。

内閣府(防災担当):新物資調達システム(B-PLo) 本年4月から運用開始

本紙 2025年4月25日付け:シェルターワンが「避難所のあり方を変える」

〈2025. 11. 21. by Bosai Plus

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