P5 2 「酷暑期避難所演習」より段ボールベッド設置 - 弘前大の<br>産学連携「酷暑期避難所演習」

酷暑から”いのち”を守る人材(防災士も)を地域と共に育て、
災害関連死ゼロを目指す

● 弘前大・冨澤登志子教授が企画、青森県、避難所・避難生活学会と合同主催

P5 1 弘前大の「酷暑期避難所演習」チラシより - 弘前大の<br>産学連携「酷暑期避難所演習」
弘前大の「酷暑期避難所演習」チラシより

 弘前大学(青森県弘前市)は8月18・19日の2日間、青森県と一般社団法人避難所・避難生活学会との合同主催で「2025年度あおもり酷暑期避難所演習」を行った。
 この事業は、同大大学院保健学研究科の冨澤登志子教授が企画したもので、青森県内の自治体防災担当および関係者、弘前大学の学生らを対象に実施。長期避難が予測される酷暑期災害を想定した演習として、県内の各自治体が備蓄品を持ち寄り、避難所の設置や非常食による食事、宿泊体験などを通じた実践的な訓練となった。
 そのほか、講義やグループディスカッションも実施され、地域の防災力向上に寄与する取組みとなった。

 弘前大学では複合災害看護教育プログラムや防災士育成を推進し、災害に対応できる人材の育成に努めていて、「あおもり酷暑期避難所演習」は、これらのプログラムを受講している学生たちをはじめ、県内の自治体職員、企業などが参加して行われた。

● 北東北でも酷暑の時期が増加 災害関連死を防ぐためには環境整備を

 初日の8月18日は12時に開会、弘前大学の福田眞作学長と避難所・避難生活学会の水谷嘉浩代表理事による挨拶の後、「東北における熱中症対策」と「災害関連死を防ぐための方策」の講義を実施。講義後は体育館で避難所設置の演習を行い、参加者はトイレや段ボールベッドの設置を体験。夕方には自治体持ち寄りの非常食を調理し、グループで食事。夜はコインシャワーでのシャワー体験、体育館での宿泊環境や睡眠の質を計測した。

 翌19日は早朝6時起床、7時には温かい朝食を弘前大学生協が提供。午前中は「酷暑期避難所における健康被害防止の課題と対策」についてグループディスカッションと発表、アンケート記入が行われ、11時30分に閉会式と記念撮影をもって演習は終了した。

P5 2 「酷暑期避難所演習」より段ボールベッド設置 - 弘前大の<br>産学連携「酷暑期避難所演習」
P5 3 水の確保 - 弘前大の<br>産学連携「酷暑期避難所演習」
P5 4 就寝 - 弘前大の<br>産学連携「酷暑期避難所演習」
写真上から、段ボールベッド設置、水の確保、就寝時訓練

 両日を通じて、災害時における知識と技術習得を目指し実践的な活動に取り組むとともに活発な議論と交流が行われた。この演習での経験が、厳しい環境下での避難所において被災者の災害関連死を防ぐように予測的な行動を促すきっかけとなることが期待される。

 同事業の企画者である冨澤教授は「近年、北東北でも酷暑の時期が増加しており、さまざまな災害に備えた対策が求められている。災害関連死を防ぐためには、環境整備とともに、地域の自治体やボランティアが一体となった訓練が不可欠。弘前大学では、複合災害看護教育や防災士育成を進めてきたが、実践力を身につけるための機会を提供し、地域の防災力向上に寄与したい」とコメント。

 弘前大学では今後も地域と連携し、災害に強い社会づくりを目指すための取組みを進めていくとしている。

弘前大学:産学官連携で「酷暑期避難所演習」を実施 ― 酷暑から”いのち”を守る

〈2025. 09. 17. by Bosai Plus

コメントを残す