保育防災カンファランス & 妊婦や乳幼児の「防災ノート」
小さな命の安全を守るには
保護者や保育施設、地域など、社会全体の協力が重要
● 「保育防災カンファランス 2025」(7月28日〜8月1日)
一般社団法人日本保育防災協会(西畑進太郎・代表理事)が設立された2023年10月、同協会は設立趣旨を、「災害時に自分の判断で身を守れないこどもたちのために、こどもたちに関わる保育者をサポートし、有益な情報を届けたい」とし、その設立を本紙も同年10月16日付けで報じた。
協会が掲げた設立時の事業方針は、次の3点――
- 保育に関わる人に防災と向き合う機会をつくり保育業界全体の防災意識を高める
- 保育業界におけるBCP(事業継続計画)策定の推進
- 保育者に向けてコミュニケーションの場を提供し、交流を図る
同協会代表理事・西畑進太郎氏は株式会社ニシハタシステム(大阪府堺市、代表取締役・西畑恭二)の専務取締役で、ニシハタシステムはIP無線機や緊急地震速報機の提供が本業。ニシハタシステムはこの事業を通じて全国の保育施設(幼稚園・こども園・保育園・学童等)、そして保育者、保育施設の運営理事長や園長とのコンサルティングを通じて、園の災害対策を支援することになったという。


その日本保育防災協会が、去る7月28日〜8月1日の5日間、全国の保育現場で働く人たちに向けて「保育防災を『知って、学んで、備えよう』」をテーマに、専門講師12名によるオンライン(参加費無料)による「保育防災カンファランス 2025」を開催した(8月1日現在開催中)。
これまで5回開催されたカンファランスへの参加者は累計4500名で、第6回となるカンファランスでは、「知識としての防災」だけでなく、「日常に活かせる防災力」を重視し、専門家による講義と実践的な取組みを通じて、現場に役立つ学びを届けるとしている。
専門講師12名は、東日本大震災で当時6歳の娘を幼稚園の管理下で亡くして語り部となった人や、防災啓発活動を行う元アナウンサー、防災士・防災備蓄収納プランナー、保育士・防災士など多彩。被災経験を経た児童福祉活動家、専門家・研究者による最新知見の提供や、実際に防災に取り組む保育施設の事例を共有することで、「自分の園でできること」に気づく場としたい意向だ。
なお、事後、アーカイブで一部が視聴可能となる予定だ。
保育防災カンファレンス2025:保育防災を「知って、学んで、備えよう」
● 『あかちゃんとママを守る防災ノート』

内閣府は妊娠中や産後の女性、乳幼児がいる家庭での災害への備えや災害が起きたときの行動のポイントを記した『あかちゃんとママを守る防災ノート』(監修:春名めぐみ・東京大学大学院医学系研究科母性看護学・助産学分野准教授、吉田穂波・国立保健医療科学院生涯健康研究部母子保健担当主任研究官)を紹介している。
これは、ノート形式になっていて、妊娠中や乳幼児を持つ家庭向けに、災害時の準備や対応について書き込みながら災害への備えができるというもの。
主な内容としては、「地域の防災訓練や顔見知りを増やす重要性」、「自分ごと防災マップの作成(ハザードマップなどの活用で自宅周辺のリスクや避難ルートを可視化)、実際に避難ルートを確認する」、「避難バッグの準備と見直しの具体例」、「発災時に必要な行動(地震や洪水時の適切な避難行動、家族との連絡方法(災害伝言ダイヤル)や、乳幼児を抱えての避難時の注意点)」、「避難生活での配慮(妊娠中の合併症予防や母乳の大切さ、子どもの心のケアと災害時の行動を受け入れる姿勢)」、「妊婦と乳幼児の健康管理(妊婦のセルフチェックリスト(腹痛や破水、血圧管理など)、乳幼児の体調チェックリストやアレルギー情報の整理)」、「パーソナルカード(緊急時に役立つ情報=名前、連絡先、持病、アレルギーなど)の作成」。
『あかちゃんとママを守る防災ノート』が特に重要としているのは、災害時の健康管理と地域との連携であり、とくに地域一帯となっての、自ら命を守れない乳幼児、守りにくい妊娠中や産後の女性の見守りが重要であることを確認したい。
〈2025. 08. 01. by Bosai Plus〉