image 完成したお菓子ポシェット 800x350 - 「おいしい防災塾」 神戸常盤大学

『怖くない防災』を子どもたちに伝えたい、
お菓子を使った防災講座

《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

 お菓子を使った防災講座(主催=神戸常盤大学)が去る6月25日、神戸常盤大学(兵庫県神戸市)で行われ、学生23人が授業を受けた。
 神戸常盤大学教育学部こども教育学科の選択科目である「保育・教育多職種連携論」(担当:牛頭哲宏、田中達也、辻野あらと、伴仲謙欣、室﨑友輔)の実践授業として実施された。同科目は、学校とコミュニティの連携、そして教員と地域・他分野の専門家が協働する意義や実践を学生自身が深く学ぶことを主旨としている。

 「保育・教育多職種連携論」は、地域ぐるみで子どもを育てる社会のあり方が問われるなかで、実践的な学びと多職種連携のリアルな現場を学生に体感させることを重視している。2025年は阪神・淡路大震災から30年、神戸という土地で、学生が防災・減災を“自分ごと”として学び、今後の教育現場・地域活動に活かしていくことが目的だ。
 その一環として、防災教育に特化した特別回として一般社団法人おいしい防災塾・西谷真弓代表理事を講師として招き、講演・体験を実施した。

■防災講話、防災お菓子ポシェット作り体験

1 西谷真弓さんの講演模様 1024x768 - 「おいしい防災塾」 神戸常盤大学
西谷真弓さんの講演の模様

 西谷真弓さんは『お菓子があれば笑顔にできる!』をきっかけに地域密着子育て支援団体を発足後、2017年に「おいしい防災塾」を法人化した。「お菓子ポシェット作りを通して『怖くない防災』を子どもたちに伝えていきたい。全国に展開しており参加者は1万人超えている」と語った。
 防災お菓子ポシェット作り体験は、「非常食の代わり(食べ慣れたお菓子)、笑顔のお守り(避難所ではお菓子が笑顔のもと)、感謝の心を育む(自宅で食べることの意味。災害がなかったことへの感謝の心を育む)」の3つの役割があるという。西谷さんは「お菓子はすぐに食べないで、災害時に食べる。賞味期限を迎えるということは『幸せなこと』」だと述べた。そして「防災は日頃から考えることが大切。怖い防災ではなく、楽しみながら家族で防災についてたくさん話すことが防災につながる」と締めくくった。
 防災お菓子ポシェット作りを体験した学生が、子どもたちに作成する手順を実演後、「キャンディアンバサダー」に認定された。

2 お菓子ポシェット作りを体験する学生、担当の田中達也氏(右側に立ってタブレット持っている) 1024x768 - 「おいしい防災塾」 神戸常盤大学
お菓子ポシェット作りを体験する学生、担当の田中達也さん(写真右側に立ってタブレットを持っている人)
3 完成したお菓子ポシェット 1024x816 - 「おいしい防災塾」 神戸常盤大学
完成したお菓子ポシェット

■「防災お菓子ポシェット」を通じて伝える

 本稿リポーターの片岡が阪神・淡路大震災時に通っていた中学校にいた先生が神戸常盤女子高等学校の校長(木村光雄氏)を務めていた関係で、同高校の卒業生の学生に感想を聞いたところ「子どもが楽しみながら作ることで、防災意識が身に付く。自分も作って楽しかった。子どもから親や家族などに広げていってほしい」と語っていた。
 取材した片岡は「楽しみながら作った後、災害がなく賞味期限を迎えた日に『幸せ』を実感することは大事だ」と感じた。
 今後、更に「防災お菓子ポシェット作り」の参加者が増えることで、『怖くない防災』が神戸だけではなく全国に広まっていくことに期待したい。

※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。

▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。

▼参考リンク:

神戸常盤大学

神戸常盤女子高等学校

一般社団法人 おいしい防災塾

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