image シンポジウム「災害時におけるウェルビーイングを目指して」で 800x350 - 「防災教育学会 第6回大会」<br>防災教育とウェルビーイング

《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

 「防災教育学会 第6回大会」が去る6月14日・15日、桃山学院大学(大阪府和泉市)で開催された。6回目となる今回の大会には大学教員・教育関係者・学生など約100人が参加し、研究発表(口頭・ポスター)、総会、懇親会も同時開催された。
 防災教育学会は、防災と教育の研究者・実践家が研究領域を超えて協力し、防災教育をけん引していくという理念のもと、2020年4月に創設されている。

■ 基調講演、シンポジウム、ワークショップ

 基調講演は藤井睦子氏(大阪教育大学教授)が「リスク事象におけるウェルビーイングを考える ~災害対応・コロナ対応を通じて~」をテーマに話題を提供。新型コロナウイルス感染症での教育活動(臨時休業、手洗い・マスク・換気の対策、オンライン授業、分割授業)、災害時における保健医療活動などを取り上げて「目的意識・使命感を持ち続ける、自分で考えて行動、チームで動ける、軌道修正できる力が、リスク時に活きる」と語った。

1 藤井睦子氏による基調講演の模様 1024x628 - 「防災教育学会 第6回大会」<br>防災教育とウェルビーイング
藤井睦子氏による基調講演の模様

 シンポジウム「災害時におけるウェルビーイングを目指して」ではコーディネーターを前林清和氏(神戸学院大学現代社会学部教授)が務め、パネリストとして木村佐枝子氏(桃山学院大学人間教育学部教授)、伊藤亜都子氏(神戸学院大学現代社会学部教授)、村上高康氏(常葉大学健康プロデュース学部健康鍼灸学科准教授)が登壇。
 木村氏は「防災教育の中に心理教育をさらに明確化して、教職課程のカリキュラムに組み込むべき」、伊藤氏は「災害をきっかけに社会とつながり、関心・継承(教育)・次なる災害を乗り越えられる地域(社会)づくりが重要」、村上氏は「ツボを使った健康法は誰でも実践できるので公開講座・出前授業を通して、あらゆる世代へ広げていくことが期待される」と語った。

2 シンポジウム「災害時におけるウェルビーイングを目指して」で 1024x723 - 「防災教育学会 第6回大会」<br>防災教育とウェルビーイング
シンポジウム「災害時におけるウェルビーイングを目指して」で
3 「防災教育学会 第6回大会」のチラシ 776x1024 - 「防災教育学会 第6回大会」<br>防災教育とウェルビーイング
「防災教育学会 第6回大会」のチラシ

 ワークショップは「明日災害が発生。今日何をする?」、「鳥の眼・虫の眼 マイ・タイムラインを作ろう!」、「南海トラフ巨大地震に備えよう! 自主防災組織での話し合いシミュレーション」、「クロスロード」、「災害時の性被害防止に向けた学校教材の検討」の内容で開催された。

■ ウェルビーイングを通した防災教育

 防災教育学会大会を通して、「地域のつながり、各個人の力」が重要であると実感させられた。
 阪神・淡路大震災から30年の間に様々な災害が発生したが、平常時・災害時においてウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良い状態)を維持していくための防災教育が必要になってきている。教育・福祉・地域づくり・子供達の育ちをつなぐ総合的なアプローチが、真に意味のある防災教育を形づくるのではないか。

※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。

▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
 神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。

▼参考リンク:

防災教育学会

桃山学院大学

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