防災庁は 防災政策を推進する司令塔
「防災庁の設置は『到達点』ではなく、これらの課題解決に向けた『出発点』」(報告書より)
● 政府、2026年度中の防災庁発足に向けて設置法案の具体化へ
防災庁の設置に向けた政府の有識者会議「防災庁設置準備アドバイザー会議」(主査:福和伸夫・名古屋大学名誉教授)が6月4日、備える機能や体制について提言をとりまとめた。防災庁を防災政策を推進する司令塔と位置づけ、役所間の縦割りを排するために平時から各府省庁への勧告権を与えるよう求めた。提言を受けて、政府は2026年度中の発足に向けて設置法案の具体化を進める。
報告書は、防災庁設置に向けた基本理念、担うべき施策、実施体制に関する基本的な方向性を明らかにした。現体制の課題として、内閣府防災担当の業務運営は「パンク寸前」とし、「事前準備の実施体制が構築できていない」と指摘。これをを打開するため、防災庁は「防災に関して中長期的かつ総合的な基本政策や国家戦略の企画・立案を行うとともに、平時から発災時、復旧・復興期までの一貫した司令塔機能を担う」と位置づけた。



事前防災のフェーズでは、司令塔として各府省庁が担う役割(縦割り)の狭間にある課題や対策の抜け・モレを発見し、連携強化に向けた総合調整や実施勧告などを行い、発災時から復旧・復興フェーズでは、災害対応の司令塔として初動体制を構築する。また、被災自治体のワンストップ窓口として被災者ニーズを俯瞰的に把握し関係機関をコーディネートする。このため、十分な人員体制と防災対策の抜本的推進に必要な予算の確保を求める。
また、防災庁のプロパー職員の採用・養成、デジタル・最先端技術分野での専門的な外部人材の業務参画や登用を積極的に実施する。
提言は冒頭、「国民と共に考え、共に備え、共に守る。災害から命を守り抜き安心して暮らせる社会、防災により新たな価値を生み出す未来を創る。そのような社会・未来を実現するのが防災庁である……どのような状況でも、人命・人権最優先の考え方のもと、国民の命を守り、救われた命を確実につなぎ、国会・社会機能を維持すること。これは、国の使命である」とし、「おわりに」では、「防災庁の設置は、すべてが整った『到達点』ではなく、これらの課題解決に向けた『出発点』であり、防災庁の中長期的な進化を構想しつつ、その第一歩としてあるべき方針を示すもの」としている。
〈2025. 06. 17. by Bosai Plus〉