救助の優先度(トリアージ)を判別できる防災用品

株式会社協同印刷(滋賀県大津市)が、災害発生時に迅速な救助活動を支援するための新製品『SOS安否確認トリアージキット』を新開発した。同キットは、日本で初めて(同社調べ)、家屋の外部から在住者の避難状況を明示できる仕組みにより、救助の優先度(トリアージ)を判別できる機能を備えている。
協同印刷は阪神淡路大震災を滋賀県で経験し、爾来、東日本大震災や近年頻発する自然災害の報道に接するなかで、「いかに早く、救助を必要とする人びとの元へたどり着けるか」という課題について、印刷物という事業を通じてできることを検討してきた。
災害時、電気や通信が途絶するなかで助けを求める手段は限られる。2016年熊本地震では、避難者が椅子を並べて「カミ」「パン」「SOS」の文字を地面に作り、報道ヘリがそれを上空から捉える場面が報じられ、その光景が同社の「トリアージキット」プロジェクトの出発点になった。
2020年に「誰もが簡単に救助要請できる防災用品」としてキット開発を開始。2023年2月に特許を取得し、2023年12月に滋賀県大津市での実証実験を実施。2024年には滋賀県防災危機管理室の確認を受け、「県庁内の防災サロン」に展示した。
そして、2025年1月には防災製品としての推奨認証も取得して、2025年4月に神戸市の防災イベント「防災デイ」に出展し、被災経験者や自治体関係者から高評価を得て、実用性と社会的意義を再確認し、今回の発売に至ったという。


■ SOS安否確認トリアージキットの特長
○誰でも簡単に設置・使用可能
高齢者や障がいのある人、声が出せない状況でも、視覚的に安否を伝えることができる
○明確な可視化
家屋の外に掲示することで、救助側が一目で状況(要救助、避難済み等)の把握が可能
○迅速なトリアージ支援
避難状況に応じた表示により、限られた人員のなかで効率的な救助活動が可能に
○避難所にも救助要請が必要
避難所にも、SOSを表記した大判ののぼり旗で救助要請を可能に
○DV被害者や犯罪被害者への配慮
声を出せない環境下でも外部に助けを求める手段としても活用可能
協同印刷では、「トリアージキット」が地域の防災意識を高めるきっかけとなり、「向こう三軒両隣」の助け合い精神の再構築に貢献することを願い、自治会・学区・市町村単位での防災訓練への導入を通じて、実効性ある備えを進めていきたいとしている。
協同印刷:災害時の家屋に「救助要請トリアージ」設置可能に 〜日本初(当社調べ)〜
〈2025. 06. 01. by Bosai Plus〉