「防災庁」設置(26年予定)後 初の主要国連防災会議、
再び仙台で

2027年に開催予定の次回「アジア太平洋防災閣僚級会議」(Asia-Pacific Ministerial Conference on Disaster Risk Reduction:APMCDRR)について、内閣府(防災担当)は日本の宮城県仙台市で開催することで合意したと発表した。
国連防災機関(UNDRR)主催の「アジア太平洋防災閣僚級会議」は、アジア太平洋地域約60カ国から防災担当閣僚が一堂に会して防災対策等について議論する場。会議には、各国政府関係者に加え、国際機関、NGO、地方公共団体、大学等の研究機関、民間企業など、防災関係主体が参加する。
「アジア太平洋防災閣僚級会議」はアジア太平洋地域での「兵庫行動枠組2005-2015」の推進を図るため、2005年から原則2年ごとに各国持ち回りで開催(第8回までは「アジア防災閣僚級会議」)されている。前回会議は2024年10月14日〜10月17日の4日間、フィリピン・マニラ市で開かれ、政府代表団や防災関連企業、NGOなど70カ国から計7000人以上が参加、都市の災害リスク増大に対する事前防災投資の重要性などが議論された。
内閣府(防災担当):2027年(国連)アジア太平洋防災閣僚級会議の日本開催について

災害の激甚化・頻発化は地球規模の課題だ。石破茂首相は、本年1月の施政方針演説で、「災害対策の知恵や技術を海外に発信し、世界の防災に貢献する」との考えを表明。また石破政権として2026年度の防災庁設置をめざしており、設置後の初の防災関連大型国際イベントとなる。
同会議では、東日本大震災や能登半島地震で得た教訓の発信、官民連携の優れた防災関連技術をアピールしてわが国の新たな産業の柱とする狙いもあり、国連機関、関係省庁、自治体等と連携して同会議の成功に向けて準備を進める考えだ。
また仙台市では、東日本大震災被災地が連携しての開催となった2015年第3回国連防災世界会議(後段参照)に続く国際的な重要防災会議となる。同年に採択された国際指針「仙台防災枠組み」の実施期間が30年で終了するため、国は後継指針のとりまとめに向け、27年の閣僚級会議で議論を主導する方針だ。
ちなみに、第3回国連防災世界会議・仙台は2015年3月14日〜18日の開催で、187カ国の代表、国際機関代表、認証NGO等6500人以上が来訪、関連事業を含めると国内外から延べ約15万人以上が参加、わが国での国連関係の国際会議として最大級となった。
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●おさらい――国連防災世界会議(WCDRR)
横浜から神戸へ、仙台へ 事前防災投資、より良い復興(Build Back Better)を
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国連防災世界会議(WCDRR:World Conference on Disaster Risk Reduction)は、グローバルな防災戦略を議論する国連主催の会議。これまで第1回が1994年に横浜市、第2回が2005年に神戸市、第3回が2015年・仙台市開催と、日本がホスト国を務めている。

国連は1990年代を「国際防災の10年」(IDNDR)と定め、日本はその中間年・1994年に同会議を横浜市に誘致、「横浜防災戦略」を策定。
さらに「横浜防災戦略」を発展的に見直すべく、日本は阪神・淡路大震災から10年の2005年1月「第2回 国連防災世界会議神戸」を開催。その直前、2004年12月24日に20数万人の死者行方不明者を出した「スマトラ島沖地震津波(インド洋大津波)」が発生。これを踏まえて同会議は05年から15年の10年間、災害脆弱性減少の取組みを加速させる「兵庫宣言」を採択。また、同期間の国際的な取組指針「兵庫行動枠組」(Hyogo Framework for Action::2005 – 2015)を策定した。

「兵庫行動枠組(HFA)」では、国際社会がとるべき防災活動の指針として、(1)防災を国、地方の優先課題に、(2)災害リスクを特定、評価し、早期警報を強化、(3)防災文化構築に向けて知識、技術、教育の活用、(4)潜在的なリスク要因を減らす、(5)事前の備えの強化――をあげた。
「兵庫行動枠組(HFA)」によって、とくにアジア地区では津波警報システムや気象予報・避難誘導システムなどが導入されている。
〈2025. 05. 19. by Bosai Plus〉