紛争地と地震被災地が重なる
猛暑が続き、感染症など被災者の健康面の悪化も懸念

 2025年3月28日、ミャンマー標準時12時50分(日本時間15時20分)に、ミャンマー地震が発生した。米国地質調査所(USGS)によれば、この地震はミャンマー中部のマンダレー近郊の地下10kmを震源として発生したマグニチュード(M)7.7の大地震で、同国内を南北に通るザガイン断層のずれによって生じた地震。ザガイン断層はインドプレートとスンダプレートの境界部に位置し、同地域では過去1世紀にマグニチュード7以上の地震が6回発生している。

P4 1a ミャンマー大地震の震源(USGS資料より) - ミャンマー大地震<br>内戦下 人的被害・経済被害は<br>さらに拡大か
上図:ミャンマー大地震の震源(USGS資料より *ミャンマーの表記は「BURMA」となっている)
P4 1b ミャンマー大地震被災地の救援・支援が急がれる(UNHCR支援サイトより) - ミャンマー大地震<br>内戦下 人的被害・経済被害は<br>さらに拡大か
UNHCRの被災地支援サイトより
P4 2 ザガイン断層沿いの地殻変動(SAR撮像領域)(国土地理院資料より) - ミャンマー大地震<br>内戦下 人的被害・経済被害は<br>さらに拡大か
ザガイン断層沿いの地殻変動(SAR撮像領域)(国土地理院資料より)

 ミャンマーにおいては1912年メイミョー地震(M7.9)以来最大の地震となる。ちなみに、USGS資料ではミャンマーの表記は「BURMA」となっている。
 これは、主に軍事政権の正統性を認めない立場から、米国・オーストラリア・カナダ・イギリスなどは「ビルマ」の国号を使い続け、民主主義政権下においても、2021年クーデター後も、公の場では「ビルマ」を用いることが多い。国際連合・ASEAN・日本・インド・中国などは「ミャンマー」への国号変更を承認している。

 今回のミャンマー大地震について、USGSは地震発生翌日の29日に人的被害が1万人以上にのぼるとの推計を出している(下図の左)。これは大地震発生時に速報的に推計されるもので、周辺人口などを分析して推計される。これまでも世界の大地震でのUSGS被害推計速報は、被災地支援体制づくりの実効性を裏づけるデータともなっている。

P4 3 USGSによるミャンマー大地震(M7 - ミャンマー大地震<br>内戦下 人的被害・経済被害は<br>さらに拡大か
USGSによるミャンマー大地震(M7.7)発生時「推定被害速報」より

 ミャンマー国内では国軍(政府軍)と民主派による内戦が進行中で、これまで判明しているミャンマー大地震での人的被害はミャンマー国軍発表で4月11日現在、死亡者は3600人を超えている(14日の情報で、日本人1人の死亡確認)。
 紛争地と地震被災地と重なる地区が多く、被災地は猛暑が続き、感染症や心理的負担の増大など被災者の健康面の悪化も懸念されているが、医療従事者には政府への“不服従”を公言して現場を離れる者も多く、人的被害・経済被害はさらに拡大するとみられる。

 いっぽう、隣国タイの首都バンコクで倒壊した建設中の高層ビルについて、地元当局はこれまでに23人が死亡し、依然として70人以上と連絡がとれていないという。

 ミャンマー政府は非常事態宣言を発令して国際支援を要請しているが、国情もあって海外からの災害支援は困難を極めている。
 日本政府からは国際緊急援助隊が派遣されているほか、国際機関を通して緊急無償資金協力や医療品などの物資支援が行われている。また、日本国内の民間の各種NGOの活発な募金活動も始まっている。

Yahoo!ニュース:外務省 ミャンマー地震

〈2025. 04. 24. by Bosai Plus

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